さわがにいかに

サワガニの採り方と食べ方について書こうと思う。

シカやイノシシを対象とした狩猟を行う山には大抵、水の流れがあるものであり、そういった水の流れには大抵、サワガニが生息していることだろう。

私が狩猟を行っている山では、比較的少ない労力で、一定量のサワガニを捕獲することが可能であることが分かったため、新たな食料確保の手段としてサワガニ漁を行った。

やり方は簡単で、シカの前足を川に浸けておき、1〜2晩置いてから見に行って、肉に群がっているカニを手で捕まえるだけである。

ポイントとしてはまず、肉は完全に水中に沈め、上に石を載せておく。こうしないと、キツネやイタチ等の動物に肉を持っていかれてしまう。
あまり深いところに沈めると、カニを捕獲するのが難しくなるので、流れがゆるくて適度に浅い場所を選ぶとよい。
水深のある場所でやろうと思うのであれば、カニ籠を使うべきだと思う。
肉の上に石を置くことで、サワガニは石と肉の間で安心して過ごすことができると思われる。

次に、設置場所の間隔であるが、1本の流れの中に複数の肉を沈める場合は、少し離れた場所にする方が良いと思われる。肉の匂いを嗅ぎつけて集まって来るサワガニは、肉を設置した場所より下流側から来るはずで、最初に嗅ぎつけた肉に辿り着いてしまえば、それより上流にある肉へ向かおうとはしないと思われるからだ。水流の多さやサワガニの生息密度などを想像して、効率的に捕獲が行えるよう、肉を沈める場所を選定したい。

なお、サワガニは最大で10年程度の寿命があるとされ、野外で同時期に見られる個体のサイズには、かなりバラツキがある。小さい個体は逃してやるのが、資源保護のためにも良いだろう。

私がサワガニを採っている場所では、同じところに肉を置き続けた場合、1回目と2回目に見に行った際は、大きいサワガニが群がっている(10匹〜30匹程度)が、3回目になると大きいのは1,2匹になってしまう。こうなると、同じ場所に肉を沈め続けても、今後の採れ高は期待できないので、肉を移動させることになる。

サワガニを持ち帰る際には、喧嘩によるハサミや脚の欠損に注意すべきである。基本的には水を張ったバケツにポイポイと放り込んでおけば良いのだが、あまりに密度を高くすると、サワガニ同士が喧嘩して、家に着く頃にはバケツの底にモゲたハサミや脚がいっぱい沈んでいる、という状況になってしまう。これをなるべく回避するため、私はバケツの中に枝葉を沈めておき、少しでも足場や隠れ家をつくるようにしている。

家に持ち帰ったサワガニは、1晩か2晩、適当な水槽に入れて泥抜きをする。私の場合、ろ過装置やエアーポンプなどを備えない普通のプラケに水を張って一晩放置するのだが、これでも採ってきたサワガニが死ぬということはあまりない。ただし、持ち帰るときと同様、サワガニの密度には配慮すべきである。加えて最も注意すべきは、温度である。サワガニは冷たい沢に住んでいるので、水温が上がるとあっけなく死ぬ。私は主に4〜5月をサワガニ猟の時期としているが、家の中で直射日光の当たるところ、ポカポカと暖かいところに、泥抜き用の水槽を置いておいたりすると、翌朝、多量のサワガニが全滅しているという恐ろしい状況になりかねない。泥抜き中のサワガニはガチャガチャと五月蝿いので、私は風呂場に放置するようにしている。

泥抜きの終わったサワガニは、流水で軽く洗いながら、大きさごとに選別し、食品用密閉袋に入れていく。調理する際は、サワガニのサイズが一定であるほうがやりやすいし、器に盛ったときの見た目も良い。食品用密閉袋にサワガニを生きたまま入れたら、あとは冷凍庫に入れるだけである。もちろん冷凍せずにそのまま食べても良いが、生きたサワガニは扱いにくいので、一旦冷凍しておくと楽である。

調理法としては、素揚げか甘露煮がおすすめである。いずれにしろ、寄生虫がいるので十分に加熱する必要がある。

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