おそらくさんだん

2021年6月15日に、有害鳥獣捕獲によるシカ♂1頭の捕獲があった。罠は”しまるくんL”で、ワイヤーは左前脚の主蹄と副蹄の間に掛かっていた。残念ながら、発見時に既に死亡していた。

これくらいの状態だと、死後24時間以内と思われる。この罠には発信機が取り付けてあったのだが、罠と発信機を繋ぐラインが切れており、発信状態にはなっていなかった。発信機を買った時に付いてくる細いワイヤーがあまり使いやすくないのと、捕獲の度に交換が必要になり安価でもないので、代替としてナイロンの細引きを使っていたのであるが、これがぷっつり切れていたのである。付属のワイヤーでも切れる時は切れるので、今回切れたナイロンの細引きがワイヤーに比べて切れやすいのかはまだ分からない。とりあえず、罠発信機は100%作動するわけではないので、見廻りの頻度を下げることはできても、無くすことはできないというのは思いに留めておいたほうがいい。

かぶでひっぱる

2021年2月6日にニホンジカ♂1頭の捕獲があった。罠は”だらずわな”で、ワイヤーは左前脚の主蹄と副蹄の間に掛かっていた。

この日は、午前中に別の作業をしてから見廻りをしたので、発見が昼頃になってしまった。遠目から見ると、既に死亡しているかのような状態だったが、かろうじて息があったので、血抜きをして肉をとることができた。

通常であれば、捕獲があれば軽トラでもう一度来て運び出し、という流れになるのだが、時間がなかったので、水に浸けておける場所まで非舗装の林道を原付 (スーパーカブ)で引き摺って運ぶ、ということをした。シカの脚とカブの荷台は、細いワイヤーで繋いである。シカでもイノシシでも、中型までの個体であれば、70ccのカブで引き摺ることは可能である。

ちなみに、シカやイノシシを引き摺って移動させる際、頭が前になるように引っ張るほうが、毛の向きと逆らわないので楽に引ける、ということを強固に主張する人がいるが、私はどちらかというと後脚を括って引く派である。平らな雪の上で引っ張るような場合は、確かに頭を先にした方がいいと私も思うが、地面の凹凸や倒木などの障害物があるなら、後脚を引く方が引っかかりにくいと感じているからである。議論しても仕方ないので、頭を前にして引っ張れと先輩猟師に言われたら従うが、自分では脚を先にして引っ張ることが多い。罠で止め刺しをした際、後脚よりは前脚の方が血で汚れている割合が高いので、ワイヤーではなくロープを使う場合は汚れにくいという利点もある。

とにかくてばやく

2021年1月11日にニホンジカ♀1頭の捕獲があった。罠は”しまるくん”で、ワイヤーは左後脚の主蹄と副蹄の間に掛かっていた。

今回は初めて、共猟者の後輩 (歳も猟歴も私より下)が単独で放血を行ってくれて、私が着いたときには失血死している状態だった。ここは後輩と私が交代で罠を見廻っている場所で、この日は後輩が見廻りをする日であった。後輩は今のところ原付しか無いので、捕獲があった場合には主に私が軽トラで回収に向かい、一緒に運び出しや解体、埋設を行うのだが、これまでは私が到着してから一緒に止め刺しを行っていた。後輩が見廻りをして動物が罠に掛かっているのを発見し、私に連絡してきた場合、私が軽トラで向かうのにどんなに早くても15分はかかるのであるが、私が到着する前に止め刺しが完了していれば、到着と同時に死体を回収して解体場所へと向かえる。せいぜい10分程度の差ではあるが、これが行えるかでスムーズさというものが随分変わってくる。

私も軽トラを入手する前、原付しか無かった頃は、基本的に軽トラを持つ師匠を呼んで運んでもらっていたのだが、止め刺し、車道までの搬出、奨励金申請のための写真撮影、など必要な作業を、段々と師匠が来る前に済ませることが出来るようになっていった。師匠が到着した瞬間に写真撮影まで済ませた死体を軽トラに載せ、その場をあとにできるのが理想的である。

私も含め大抵の狩猟者は、動物が血を流して死にゆく様をじっくり眺めたいという変質者では無く、時間をかけるとすれば解体を丁寧にやりたいとかいう程度であって、基本的にはさっさと済ませて家に帰りたいのである。

もちろん、捕獲されたのが大型の個体であったり、ワイヤーが外れそうであったりするなど、単独での作業が危険な場合は、共猟者の到着を待って行うのが良いが、そうでない場合はなるべく余計な時間がかからないように、自分で出来ることを増やして、物事がスムーズに行くように考えて行動する、というのが狩猟者として求められる能力だと思う。