2021年2月6日にニホンジカ♂1頭の捕獲があった。罠は”だらずわな”で、ワイヤーは左前脚の主蹄と副蹄の間に掛かっていた。
この日は、午前中に別の作業をしてから見廻りをしたので、発見が昼頃になってしまった。遠目から見ると、既に死亡しているかのような状態だったが、かろうじて息があったので、血抜きをして肉をとることができた。
通常であれば、捕獲があれば軽トラでもう一度来て運び出し、という流れになるのだが、時間がなかったので、水に浸けておける場所まで非舗装の林道を原付 (スーパーカブ)で引き摺って運ぶ、ということをした。シカの脚とカブの荷台は、細いワイヤーで繋いである。シカでもイノシシでも、中型までの個体であれば、70ccのカブで引き摺ることは可能である。
ちなみに、シカやイノシシを引き摺って移動させる際、頭が前になるように引っ張るほうが、毛の向きと逆らわないので楽に引ける、ということを強固に主張する人がいるが、私はどちらかというと後脚を括って引く派である。平らな雪の上で引っ張るような場合は、確かに頭を先にした方がいいと私も思うが、地面の凹凸や倒木などの障害物があるなら、後脚を引く方が引っかかりにくいと感じているからである。議論しても仕方ないので、頭を前にして引っ張れと先輩猟師に言われたら従うが、自分では脚を先にして引っ張ることが多い。罠で止め刺しをした際、後脚よりは前脚の方が血で汚れている割合が高いので、ワイヤーではなくロープを使う場合は汚れにくいという利点もある。