とにかくてばやく

2021年1月11日にニホンジカ♀1頭の捕獲があった。罠は”しまるくん”で、ワイヤーは左後脚の主蹄と副蹄の間に掛かっていた。

今回は初めて、共猟者の後輩 (歳も猟歴も私より下)が単独で放血を行ってくれて、私が着いたときには失血死している状態だった。ここは後輩と私が交代で罠を見廻っている場所で、この日は後輩が見廻りをする日であった。後輩は今のところ原付しか無いので、捕獲があった場合には主に私が軽トラで回収に向かい、一緒に運び出しや解体、埋設を行うのだが、これまでは私が到着してから一緒に止め刺しを行っていた。後輩が見廻りをして動物が罠に掛かっているのを発見し、私に連絡してきた場合、私が軽トラで向かうのにどんなに早くても15分はかかるのであるが、私が到着する前に止め刺しが完了していれば、到着と同時に死体を回収して解体場所へと向かえる。せいぜい10分程度の差ではあるが、これが行えるかでスムーズさというものが随分変わってくる。

私も軽トラを入手する前、原付しか無かった頃は、基本的に軽トラを持つ師匠を呼んで運んでもらっていたのだが、止め刺し、車道までの搬出、奨励金申請のための写真撮影、など必要な作業を、段々と師匠が来る前に済ませることが出来るようになっていった。師匠が到着した瞬間に写真撮影まで済ませた死体を軽トラに載せ、その場をあとにできるのが理想的である。

私も含め大抵の狩猟者は、動物が血を流して死にゆく様をじっくり眺めたいという変質者では無く、時間をかけるとすれば解体を丁寧にやりたいとかいう程度であって、基本的にはさっさと済ませて家に帰りたいのである。

もちろん、捕獲されたのが大型の個体であったり、ワイヤーが外れそうであったりするなど、単独での作業が危険な場合は、共猟者の到着を待って行うのが良いが、そうでない場合はなるべく余計な時間がかからないように、自分で出来ることを増やして、物事がスムーズに行くように考えて行動する、というのが狩猟者として求められる能力だと思う。

へのじにまがる

2021年1月10日にニホンジカ♀2頭の捕獲があった。
1頭目は、罠が”しまるくん”で、ワイヤーは左前脚の副蹄より上に掛かっていた (写真上2つ)。

2頭目は、罠が製品名不明の笠松式で、ワイヤーは右前脚の副蹄より上に掛かっていた (写真下3つ)。

2頭目が掛かった罠は、押しバネを用いた仕掛けで、バネをスムーズに圧縮させるための塩ビパイプで出来た部品があるのだが、今回はそれがぐにゃりと曲がってしまっていた。♀であるが比較的大きな個体なので、ワイヤーを引っ張ってぐるぐる回った時に、ちょうどこの部品が木の幹に当たり、曲げられてしまったのだと思われる。曲がった部分を軽く火で炙り、柔らかくなったところでまっすぐに直したが、少し押しバネが引っ掛かるようになってしまった。まぁ使えないほどでは無いので問題ないのだが、何度も繰り返すと元に戻せないような状態で破損する可能性もある。

わきがひらいてる

2021年1月18日に鹿♀1頭の捕獲があった。罠は”しまるくん”で、ワイヤーは右前脚の主蹄と副蹄の間に掛かっていた。

何ということはない小型の雌鹿なのだが、珍しいことにこの個体は罠の掛かった前足の付け根、人間で言うところの脇の部分の皮がぱっくり割れて、肉が剥き出しになっていた。ワイヤーの掛かった脚の先端、あるいは人間で言う膝の部分の皮が切れて骨がむき出しになっているというのはよくあるが、このような状態のものは初めて見た。確かに前脚の肩甲骨は、後脚と比べると胴体との接続が弱そうなので、強い力で脚を引っ張ればこのの部分から剥がれるということもあるだろうが。