おれのこあゆつり

これは遊漁であっても、遊びではない。

私にとって小鮎釣りというのは、遊びというよりは仕事の一種である。いかにお金を掛けず効率よく小鮎を釣るか、ということを考えて私が実践している釣りを紹介したいと思う。

世の中には、「〇〇の正しいやり方」などと称して方法論を説いてくるコンテンツが多いが、私が紹介するのはあくまで「私の」やり方である。正しいとか間違っているとかそういったことを主張するつもりはない。魚釣りなどというものは各人が思い思いに好きな方法でやれば良く、内水面漁業調整規則などに違反していなければ自由なのである。

[場所]
琵琶湖に注ぐ、漁業権の設定されていない幾つかの小規模河川が、私の主な釣場である。私が行くのはどれも自宅からは30~40分で行ける場所だ。峠を越えて行くので多少負荷がかかるが、タンク容量4Lのスーパーカブで3往復はできるので、ガソリン代は1往復あたり200円以下である。もっと小鮎の遡上が多い川もあるかと思うが、遠いと気軽に釣りに行けないし、遊漁料の必要な川は最初から候補に挙がらない。
シーズン初期は、小鮎が水深のある所に溜まっているので、その場所で釣りができるかが釣果を決めると言っても過言ではない。小さな川では小鮎の溜まる場所は限られているので、そういった場所を把握しておくのが大事である。瀬で釣れるようになってきたら、ある程度の数が釣れる場所というのは一気に増えてくるが、その場合でも釣れる小鮎の大きさは、同じ河川のちょっとした場所の違いで随分変わるように思う。

[タイミング]
これは河川の条件によって全然違うと思うが、私の行く川では、まとまった雨が降って増水してから1,2日後が良いように思う。渇水が続いて遡上が減ると、河川の中にいる小鮎の絶対数も少ないし、水位が下がった状態では小鮎の活性も低く、魚の姿が見えてもほとんど喰ってこないということもある。増水直後は上流から流れてくる草や枝などのゴミが多く、釣りにならないことがあるのと、小鮎のエラに砂利を噛んでいることがあり、そうなると食べるときに頭を落とさないといけなくなる。
時間帯はやはり朝夕が良いと思う。私は夕方から行くことが多いが、ウキが見えなくなるくらいまで竿を振っていても、釣れるときは釣れる。逆に、日差しが強く水中で針がキラキラしているときの方が釣れると感じるときもある。

[装備]
私は下が作業ズボンに長靴、上は長袖Tシャツに気温に応じてレインウェアやライトダウン、といった服装が主である。シーズン初期は薄着では震えるほど寒い時もあるので、調整できるようにしておくのがよい。逆に夏の昼間は暑く日差しも強いので、帽子やタオル、日焼け止めなどもあったほうがよい。移動時に浅瀬を渡ることも多いので、少し長めの長靴を履いておくほうが楽である。根掛かりや対岸の草に仕掛けが絡まったときなども、長靴を履いていれば外しに行けることが多い。夏になればサンダルでもよいとは思うが、私はサンダリストではないので殆ど履かない。

[道具]
殆どの場合、スーパーカブに乗って行くので、荷物は極力少なくする。
リュックの中には竿や仕掛け、撒き餌などいわゆる釣具を入れておく。カブの荷台には、保冷剤を入れたソフトタイプの保冷バッグと折りたたみ椅子を載せ、紐で縛って留める。それと小型の蓋付きバケツをハンドル下の荷掛けフックにかけて持っていく。以上が大まなか荷物である。

釣具は以下のようなものを使う。

竿: 3.6mか4.5mの延竿。大きな河川や湖畔で釣りをするのであれば、もっと長い延竿やリール竿を使うのがよいかも知れないが、私の行く小規模河川では4.5mあれば困ることはない。小鮎釣りではとにかく竿を操作し続けるので、なるべく軽いほうが良く、短い竿に利点がある。3mより短い竿でも釣れないことはないと思うが、ある程度は魚との距離を取ったほうが警戒心を与えないと思うし、あまり竿が短いと仕掛けを流せる距離も短くなるので、3.6mぐらいの竿が使いやすいと感じている。調子は硬調の方が良いと思う。立ち位置によっては流れに逆らって10cm以上の小鮎2匹 (スレ掛かりしていたりすると更に抵抗が大きい)を抜き上げる必要があるので、あまりグニャグニャの竿では手間取るだろう。これらの要件を満たしていれば、ブランドの高価な竿を使う必要性は無く、中古品でも全く問題ない。

道糸: 1.5号の安いナイロンラインを使っている。あまりに撚れてきたら交換するが、10釣行に1回くらいのことである。手返しを良くするには、道糸の長さを適切に調整しておくことが重要である。最初は[竿の長さ]-[仕掛けの長さ]で取っておいて、少しずつ詰めていくのが良いと思う。小鮎が1,2匹掛かった状態で引き抜いて、竿を持っているのとは逆の手で上手く魚あるいは仕掛けの一部をキャッチできる長さにしてやると、取り込みがスムーズに行なえる。竿の曲がり具合や釣れる小鮎の大きさにもよるので、一概に竿尻から仕掛けの先が何cmということは言えない。道糸の先には、小型のヨリモドシを付けておき、仕掛けをすぐに交換できるようにしている。

浮き: 蛍光玉ウキの6号~8号、たまに10号を使っている。浅場の小鮎釣りでは、ウキにかかる水の抵抗で仕掛けを流すので、流れに合わせてウキの大きさを変えられるよう、何種類か持っておくと良い。普通のゴム管で直接道糸にセットする。

仕掛け: 私は通販で入手しやすいOWNERの「小鮎パールシルバー3本」の2.5号という仕掛けを主に使っている。流れの緩い深場では、5~6本針の仕掛けを使うことも稀にある。小鮎のシーズン直前やシーズン中は、通販では品薄や高値になることもあるので、シーズンオフのうちに買い溜めておくのが良い。「小鮎パールシルバー3本」は3本針仕掛けが2セットで300円弱と安い。根がかりの少ない場所なら、1つの仕掛けで半日使い続けれられるが、そのうち枝ハリスが撚れてくるのと、針先もだんだん甘くなる(気がする)ので、釣行毎には取り替えるつもりでストックしておくと良い。仕掛けの両端にスナップがついているので、片方を道糸の先につけたヨリモドシに、もう片方をラセンにつける。

ラセン: OWNERの「マキ餌ラセン」26mmというのを使っている。がまかつの「ねりえラセン」も買ったことがあるが、少なくとも底ズル式にはOWNERのやつのほうが使いやすいと感じている。ラセンのヨリモドシが付いていない方には、適当なサイズのガン玉を打っておく。あまりに渇水で水の流れが弱いときにはガン玉を付けないこともあるが、そうすると小鮎が掛かって暴れたときに仕掛けが絡みやすい。その日の水流に合わせ、仕掛けがゆっくり流れ、なおかつウキが水中に没しないよう、このラセンにつけるガン玉とウキのサイズで調整を行う。

撒き餌: 私はシラスと削り粉、それに細目パン粉を混ぜたものを使う。きちんと量ってはいないが、概ねシラスが全量の1/10、削り粉とパン粉は半々くらいになるように混ぜている。私はいずれも業務スーパーで購入するが、シラスは冷凍のものを買うので、1シーズン分以上をまとめ買いしておけば、保存がきくのでシーズン途中に買い足す必要がない。釣行前にまず冷凍シラスを食品用保存パックに入れ、袋の外から押してある程度すりつぶしたら、削り粉とパン粉を入れ均一な混合物を作っておく。現地に着いたらその混合物をバケツに入れ、川の水を入れて練る。この時大事なのは、持ってきた混合物を一気に全量入れないことである。水を入れ過ぎて弛くなったときに救いようがない。ラセンに付けて流した時、2~3回流す間にバラけるくらいの固さに練るのが良いと思う。残った餌は、水を入れて練ったものと、水を混ぜていないものを別々にして、保存パックにいれ、帰宅後に冷凍庫へ入れておく。こうすれば余った餌を無駄にすることはなく、次回は冷凍したまま持っていけば、釣場に着くころには少し溶けて使える状態になっている。

[基本の釣り方]
ウキ下の長さを調節し、ウキ先行でラセンが川底を摺るようにして流す。水中のラインと水面の確度は45度以下が好ましい。浅い瀬を流して釣る場合はウキ下をなるべく短くする。この状態にすると、仕掛けの針がラセンから出た撒き餌の弾幕を潜るので、小鮎が餌と間違えて針に喰い付く状態を作れる。
流す距離は長くても5m以下である。長い距離を流しても、小鮎を散らし根がかりのリスクが上がるだけで、効率は上がらないように思う。釣り始めは、少しずつ流すラインを変えながら流し、アタリの出やすいラインや位置を見極めたら、集中的にそこを流すようにする。
仕掛けの投入時から、ウキが下流側に来るよう着水させるとライントラブルは少ないが、水深があって表層の流れが強いような場所を流すときは、ウキを上流側に着水させると、スムーズに仕掛けを底に到達させることができる。
撒き餌は、常にラセンにつけておく必要はない。活性が高い状態では、撒き餌を入れずとも小鮎はパール針に喰い付く。私の場合は、何回か流しても喰わなければ、景気付に撒き餌を入れるような意識である。ラセンに撒き餌を付けるときも、なるべく少しずつバラけるようにするのがコツである。シラス、削り粉、パン粉はいずれも人間が食べられる食物であり、特にシラスは安いものではないので、なるべく少ない撒き餌で多くの小鮎を釣るようにするのが大事である。
合わせは、ウキが流れに逆らって沈み込んだらすぐに行うが、強い合わせは全く必要なく、軽くラインを張って聞き合わせする程度で良い。魚がかかっているのを確認したら、基本的には引き抜くが、抵抗が大きい時 (複数匹掛かっている時、あるいはスレ掛かりの時)は、水中に入れたまま引き寄せることもある。
特に浅瀬ではアタリがウキに出ないときもあるが、針に掛かった小鮎が反転したときに水中でキラッと光るのが見える場合があり、そういった場合もは早めに仕掛けを引き上げるくらいのつもりで糸を張ることもある。
基本的には、3本針仕掛けを使っていても、一度に釣るのは1匹でよいという意識で、2匹3匹と同時に掛かるのを待つということはしない。複数匹かかっても仕掛けが絡まったり取り込みで失敗する可能性が高まる分、効率は良くならないと思うからだ。私の場合、3本針仕掛けで100匹釣ってダブルが4,5回、トリプルはほぼ0である。
釣れたコアユは、すぐに保冷バッグに入れた食品用保存パックに入れている。川にビクを半分沈めておいて、そこに投げ込む人も多いが、それだと水際に座る必要がある。食品用保存パックに小鮎が溜まってきたら、一旦中の小鮎を川の水ですすぎ、パックの口を閉じて保冷バッグの底に入れ、新たなパックを用意しそこに入れるようにする。小鮎を川の水で洗うのは、釣り上げたときについた砂や、手に付いた撒き餌が小鮎を掴んだときに付いてしまうので、それを洗い流すためである。

[ニゴイ・ハス対策]
小鮎釣りをしていると、小鮎を喰いに来ているニゴイやハスが、針にかかることがある。私の使う仕掛けの枝ハリスは0.4号なので、ニゴイあるいは大きめのハスを抜き上げるには厳しいものがある。多くの場合は、針が鱗にかかっているだけなので、竿の溜を効かせて耐えてやればそのうち鱗が外れて、仕掛けは無傷で回収できる。このとき竿は立てて、なるべく道糸や仕掛けが川底や障害物と擦れないようにする。稀にがっつりスレ掛かりしていて外れない場合は、流れに逆らわないように下流側の岸に引き寄せ、引きずり上げるようにする。これらを意識していても、半日で2,3回、枝ハリスを切られることもあり、ニゴイとハスは小鮎釣りには厄介な存在である。仕掛けが切られた際、3本針が2本針になっただけであれば、もったいないのでそのまま使い続けるが、1本針になってしまうとさすがに効率が悪そうなので、新品に交換するようにしている。私の場合、ハスを釣りあげたら持って帰って食べるが、ニゴイは食べないので逃がしてやる。場所や時期によると、ニゴイとハスがうじゃうじゃいる所もあるが、それでも小鮎は釣れる。

[マナー的なこと]
小鮎は撒き餌で寄せて釣るものなので、それを散らされると困ってしまう。私が釣りをしていても、すぐ近くでジャバジャバと川を渡られたり、投網を投げられたりすることもあるが、まぁそれでもしばらくすればまた釣れ出すので、我慢するしかない。こちらも金を払って釣りをしているわけではなく、向こうも内水面漁業調整規則には違反していないのだから。私は半分自由人で平日でも釣りに行けるので、釣り人が多い土日にはあまり行かないようにしている。私が他人の釣っている近くをどうしても渡りたいとき、あるいは近くで竿を出したいときは、なるべく一声かけるようにしている。釣れる場所だからと後から無言で入ってきて、仕掛けが絡まったりしようものなら、互いに気分が悪くなるものである。

[小鮎の処理・調理]
持って帰った小鮎はすぐに腹を出してやるのが良いが、数が多く処理しきれないときは、ボウルに水を張って小鮎が完全に浸るようにした状態で冷蔵庫に入れておく。腹を出すときは、極小型のハサミを使って肛門から刃をいれ、エラの近くまでまっすぐ切り、指を入れて内臓を掻き出す。そのあとはサイズで選別し、適当な数ずつ食品用保存パックにいれていく。
私の食べ方は、小型のものは天麩羅、中~大型は甘露煮がほとんどで、特に大型のものは塩焼きにすることもある。他人にあげるときは、天麩羅ができる人には腹を抜いて生か冷凍したものを、天麩羅ができない人には甘露煮に加工してから渡すことが多い。

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