はらがみちては

罠の見廻りに出かける際、私はなるべく満腹状態を避けるようにしている。見廻ったら捕獲があって処理に時間がかかる場合もあるので、勿論ある程度は食べておくのだが、腹いっぱい食べて満たされた状態で出発するのは良くないと考えている。

人間は腹が満ちていると、食物に対する貪欲さが失われるからだ。

罠猟をしていると、設置してある罠の調整や再設置が必要になる場面が多々ある。空ハジキをしていたり、風雨のせいでワイヤーが露出していたりする場合であるが、こんなときに、例えば「このあと済ませたい用事があるから、今日は放置しといて今度直そう」とか、「昨日雨降ったばかりで泥々だから作業しにくいし、少し乾いてからやろう」などと考えて、1日あるいは2,3日、捕獲の可能性が低い(無い)状態で放置するということは、結果として罠あたりの捕獲効率を下げ、捕獲数を減らす結果となる。

罠の技術 (設置場所の選定や、設置方法)は一長一短で進歩するわけではないので、罠での捕獲数を増やそうと思ったら、とにかく”まめに”やることが大事である。そんなの当たり前じゃないかと思う人もいるだろうが、手持ちの罠 (今現在、私は20個所持)を全て投入し、きちんと見廻り、必要があればすぐ調整や再設置を行う、というのは結構大変なことである。

その努力度合いを左右する1つの要因として、私は見廻り時の腹の満たされ具合があると感じているのである。

新たに肉を手に入れたい、という強い欲求があれば、少しばかり面倒に感じる時でも、精力的に罠の追加をしたり調整をする原動力になる。

同じことは冷凍庫の満たされ具合にも言える。冷凍庫が肉で満ちてしまうと、肉を手に入れたいという欲求どころか、これ以上増えては困るというマイナスの思考が働くので、理想的なのは肉が溜まったらすぐ他人にあげて (交換して)しまい、常に冷凍庫に空きをつくっておくことである。

しめころさない

2017/10/09にニホンジカ♂を、有害鳥獣捕獲のため共同で設置した罠で捕獲した。罠は”だらずわな”で、ワイヤーは左後脚の主蹄と副蹄の間に掛かっていた。

ワイヤーが後脚に掛かった場合は、頭部にロープを掛けて引っ張ると、シカを安全に固定することができる。その際、立派な角の生えた♂であれば、私はロープを首ではなく角の根本にかけるようにしている。ロープを首にかけて強く引っ張ると、首が締められて上手く血が抜けにくくなると考えているからだ。♀や若い♂では首にかけることもあるが、首にナイフを入れて血が流れ始めたら、首にかけていたロープをゆるめてやるようにしている。

れんぞくいのしし

2017/10/07と10/08にニホンイノシシ♀を連続で捕獲した。どちらも罠は”しまるくん”で、ワイヤーは両者とも左前脚の主蹄と副蹄の間に掛かっていた。10/08に捕らえた方は今年生まれた幼獣である。ちょうど稲刈りや他の農産物の収穫シーズンでもあり、畑の近くをウロウロしていたものと思われる。イノシシを2日連続で捕獲するのは初めてである。