かぶでひっぱる

2021年2月6日にニホンジカ♂1頭の捕獲があった。罠は”だらずわな”で、ワイヤーは左前脚の主蹄と副蹄の間に掛かっていた。

この日は、午前中に別の作業をしてから見廻りをしたので、発見が昼頃になってしまった。遠目から見ると、既に死亡しているかのような状態だったが、かろうじて息があったので、血抜きをして肉をとることができた。

通常であれば、捕獲があれば軽トラでもう一度来て運び出し、という流れになるのだが、時間がなかったので、水に浸けておける場所まで非舗装の林道を原付 (スーパーカブ)で引き摺って運ぶ、ということをした。シカの脚とカブの荷台は、細いワイヤーで繋いである。シカでもイノシシでも、中型までの個体であれば、70ccのカブで引き摺ることは可能である。

ちなみに、シカやイノシシを引き摺って移動させる際、頭が前になるように引っ張るほうが、毛の向きと逆らわないので楽に引ける、ということを強固に主張する人がいるが、私はどちらかというと後脚を括って引く派である。平らな雪の上で引っ張るような場合は、確かに頭を先にした方がいいと私も思うが、地面の凹凸や倒木などの障害物があるなら、後脚を引く方が引っかかりにくいと感じているからである。議論しても仕方ないので、頭を前にして引っ張れと先輩猟師に言われたら従うが、自分では脚を先にして引っ張ることが多い。罠で止め刺しをした際、後脚よりは前脚の方が血で汚れている割合が高いので、ワイヤーではなくロープを使う場合は汚れにくいという利点もある。

なぜかのらない

2020年12月16日に、私が設置していた自動撮影カメラにツキノワグマが写っていた。これまでにもクマが写っていたことはあるのだが、写真データを回収した時点で、撮影からだいぶ日にちが経っているなどして、役所に報告していないこともあった。ただ今回は、撮影された翌日、12月17日にデータを回収することができたので、速やかに担当の役所へ報告した。

私の住む京都府では、京都府内のクマ目撃情報マップというサービスが用意されていて、クマの目撃や痕跡、捕獲(錯誤・有害など)の情報を地図上で確認できる。当然、私の報告分もこのデータベースに載るものだと思っていたのであるが、待てど暮せど私の報告分が追加されていないようである。

この撮影場所は、私が罠を設置している箇所の近くなのだが、100m程離れた場所にハイキングコースがあり、200m程離れた場所には墓地もある。つまり、林業家や狩猟者以外にも近くを通る人がいる場所である。データベースに載せる価値は十分にあると思うのだが、なぜ載らないのだろうか。

更に不思議なのは、この場所の周辺で既に登録されているクマ情報に、痕跡らしきものがあった、程度の不確かなものが複数あることである。写真にばっちし写っていて、日付も場所も確定している情報が載らないで、曖昧な方が載っているのは疑問である。恐らくは、報告を受けた担当者の違いなのだろうが。

もっとも、私が報告した分が追加されなくても、私は一向に困らない。狩猟をしている場所に立ち入る人の数は、増えるよりは減るほうがいいが、そういう動機で報告しているわけでもない。ただ、これで分かったのは、クマの目撃等情報があって役所に報告されたとしても、必ずしもこのデータベースに載るわけではないということである。

ハイキングなどで初めて山に入る際は、こういったサービスを利用して、周辺でクマ情報がどれくらいあるかチェックしておくのがオススメだが、クマ情報が掲載されていないからといって安心することはできない。

やなかんじだけど

2021年1月25日にイノシシ♂1頭の捕獲があった。罠は”しまるくん”で、ワイヤーは右前脚の主蹄と副蹄の間に掛かっていた。

私が罠をかけている場所の付近では、豚熱の陽性反応が出たイノシシが発見されており、そのせいか今年度は猟場で発見できるイノシシの痕跡が非常に少ないと感じていた。自動撮影カメラにはたまに写るので、全くいないという程ではないのだが、とにかく少ないのである。私は罠猟を開始してからこれまで、毎年必ず1頭は自分の罠でイノシシを獲っていたのであるが、今年は遂にダメかと半分諦めていたところでの捕獲であった。

イノシシの捕獲があったこと自体はまぁ良かったのであるが、この個体も時期的にピークを過ぎているとは言え、かなり痩せ気味で肥えているとは言い難い。加えて、♂にしては牙が非常に短く、全体的にあまり健康な感じがしないのが嫌な感じである。

この個体の捕獲場所、残渣の埋設場所には消石灰を撒き、推奨される方法で消毒処理を行ったことを記しておく。