なぜかのらない

2020年12月16日に、私が設置していた自動撮影カメラにツキノワグマが写っていた。これまでにもクマが写っていたことはあるのだが、写真データを回収した時点で、撮影からだいぶ日にちが経っているなどして、役所に報告していないこともあった。ただ今回は、撮影された翌日、12月17日にデータを回収することができたので、速やかに担当の役所へ報告した。

私の住む京都府では、京都府内のクマ目撃情報マップというサービスが用意されていて、クマの目撃や痕跡、捕獲(錯誤・有害など)の情報を地図上で確認できる。当然、私の報告分もこのデータベースに載るものだと思っていたのであるが、待てど暮せど私の報告分が追加されていないようである。

この撮影場所は、私が罠を設置している箇所の近くなのだが、100m程離れた場所にハイキングコースがあり、200m程離れた場所には墓地もある。つまり、林業家や狩猟者以外にも近くを通る人がいる場所である。データベースに載せる価値は十分にあると思うのだが、なぜ載らないのだろうか。

更に不思議なのは、この場所の周辺で既に登録されているクマ情報に、痕跡らしきものがあった、程度の不確かなものが複数あることである。写真にばっちし写っていて、日付も場所も確定している情報が載らないで、曖昧な方が載っているのは疑問である。恐らくは、報告を受けた担当者の違いなのだろうが。

もっとも、私が報告した分が追加されなくても、私は一向に困らない。狩猟をしている場所に立ち入る人の数は、増えるよりは減るほうがいいが、そういう動機で報告しているわけでもない。ただ、これで分かったのは、クマの目撃等情報があって役所に報告されたとしても、必ずしもこのデータベースに載るわけではないということである。

ハイキングなどで初めて山に入る際は、こういったサービスを利用して、周辺でクマ情報がどれくらいあるかチェックしておくのがオススメだが、クマ情報が掲載されていないからといって安心することはできない。

やなかんじだけど

2021年1月25日にイノシシ♂1頭の捕獲があった。罠は”しまるくん”で、ワイヤーは右前脚の主蹄と副蹄の間に掛かっていた。

私が罠をかけている場所の付近では、豚熱の陽性反応が出たイノシシが発見されており、そのせいか今年度は猟場で発見できるイノシシの痕跡が非常に少ないと感じていた。自動撮影カメラにはたまに写るので、全くいないという程ではないのだが、とにかく少ないのである。私は罠猟を開始してからこれまで、毎年必ず1頭は自分の罠でイノシシを獲っていたのであるが、今年は遂にダメかと半分諦めていたところでの捕獲であった。

イノシシの捕獲があったこと自体はまぁ良かったのであるが、この個体も時期的にピークを過ぎているとは言え、かなり痩せ気味で肥えているとは言い難い。加えて、♂にしては牙が非常に短く、全体的にあまり健康な感じがしないのが嫌な感じである。

この個体の捕獲場所、残渣の埋設場所には消石灰を撒き、推奨される方法で消毒処理を行ったことを記しておく。

とにかくてばやく

2021年1月11日にニホンジカ♀1頭の捕獲があった。罠は”しまるくん”で、ワイヤーは左後脚の主蹄と副蹄の間に掛かっていた。

今回は初めて、共猟者の後輩 (歳も猟歴も私より下)が単独で放血を行ってくれて、私が着いたときには失血死している状態だった。ここは後輩と私が交代で罠を見廻っている場所で、この日は後輩が見廻りをする日であった。後輩は今のところ原付しか無いので、捕獲があった場合には主に私が軽トラで回収に向かい、一緒に運び出しや解体、埋設を行うのだが、これまでは私が到着してから一緒に止め刺しを行っていた。後輩が見廻りをして動物が罠に掛かっているのを発見し、私に連絡してきた場合、私が軽トラで向かうのにどんなに早くても15分はかかるのであるが、私が到着する前に止め刺しが完了していれば、到着と同時に死体を回収して解体場所へと向かえる。せいぜい10分程度の差ではあるが、これが行えるかでスムーズさというものが随分変わってくる。

私も軽トラを入手する前、原付しか無かった頃は、基本的に軽トラを持つ師匠を呼んで運んでもらっていたのだが、止め刺し、車道までの搬出、奨励金申請のための写真撮影、など必要な作業を、段々と師匠が来る前に済ませることが出来るようになっていった。師匠が到着した瞬間に写真撮影まで済ませた死体を軽トラに載せ、その場をあとにできるのが理想的である。

私も含め大抵の狩猟者は、動物が血を流して死にゆく様をじっくり眺めたいという変質者では無く、時間をかけるとすれば解体を丁寧にやりたいとかいう程度であって、基本的にはさっさと済ませて家に帰りたいのである。

もちろん、捕獲されたのが大型の個体であったり、ワイヤーが外れそうであったりするなど、単独での作業が危険な場合は、共猟者の到着を待って行うのが良いが、そうでない場合はなるべく余計な時間がかからないように、自分で出来ることを増やして、物事がスムーズに行くように考えて行動する、というのが狩猟者として求められる能力だと思う。