ながぐつさんしゅ

私は現在、狩猟で使うために3つの長靴を持っていて、用途により使い分けている。

安全長靴

これは狩猟を始めた当初から使っているもので、爪先に芯が入っている。靴底も厚い。本来は工事現場用に、足先に重量物が落ちても怪我をしないためのものであるが、狩猟では、動物に噛み付かれた際の被害軽減に役立つ。斜面で上から石等が崩れてきた際にも少し安心。全体的に硬いので、歩きやすくはない。また、車のペダルも踏みにくい。一方で、二輪に乗る際は底が厚く硬いことは支障なく、むしろスタンドを立てる際にはやりやすい。最近は使用頻度が減り、予備の長靴となっている。

筒高長靴

これは側面も底も薄っぺらいが、とにかく高さがある。最初に買った時の目的は、浅瀬に立ち込んで魚を捕るときに履くことだったが、浅瀬に立ち込むのは狩猟の解体時にもやることで、この場合は多少高さのある長靴が便利である。薄くて柔らかいので、車のペダルは踏みやすいが、スーパーカブでスタンドを立てる際には、底が薄い故に足裏が痛くなる。加えて防寒には向かないので、冬季に雪を踏みしめたり、川に入ったりすると、足が冷たい。なお、この長靴を買った後、胴長靴も購入したので、魚を捕るときには胴長靴を使っている。

スパイク長靴

言わずと知れたサプラーIIであるが、私は林業系の仕事現場でこれを支給され、その素晴らしさに感激し、個人的にも購入するに至った。この製品の良いところは、とにかく軽くて暖かく、丈夫なところである。私の場合、罠猟では長距離を歩いて移動しないので、罠の見廻りでこれを履くことはなく、むしろ釣りでテトラの上を歩く時などに使用することが多いが、山の斜面で作業する時には、このようなスパイク長靴を履いていた方が足元が安定するので、軽トラに積んでおいて捕獲作業時に使えるようにしている。スパイク長靴を履いていると、舗装路を歩いたり車の運転をするのはやりにくい。また、スパイク長靴を履いたまま商店にはいるのは床を傷つける恐れがあり、躊躇われることもある。

おそらくさんだん

2021年6月15日に、有害鳥獣捕獲によるシカ♂1頭の捕獲があった。罠は”しまるくんL”で、ワイヤーは左前脚の主蹄と副蹄の間に掛かっていた。残念ながら、発見時に既に死亡していた。

これくらいの状態だと、死後24時間以内と思われる。この罠には発信機が取り付けてあったのだが、罠と発信機を繋ぐラインが切れており、発信状態にはなっていなかった。発信機を買った時に付いてくる細いワイヤーがあまり使いやすくないのと、捕獲の度に交換が必要になり安価でもないので、代替としてナイロンの細引きを使っていたのであるが、これがぷっつり切れていたのである。付属のワイヤーでも切れる時は切れるので、今回切れたナイロンの細引きがワイヤーに比べて切れやすいのかはまだ分からない。とりあえず、罠発信機は100%作動するわけではないので、見廻りの頻度を下げることはできても、無くすことはできないというのは思いに留めておいたほうがいい。

かぶでひっぱる

2021年2月6日にニホンジカ♂1頭の捕獲があった。罠は”だらずわな”で、ワイヤーは左前脚の主蹄と副蹄の間に掛かっていた。

この日は、午前中に別の作業をしてから見廻りをしたので、発見が昼頃になってしまった。遠目から見ると、既に死亡しているかのような状態だったが、かろうじて息があったので、血抜きをして肉をとることができた。

通常であれば、捕獲があれば軽トラでもう一度来て運び出し、という流れになるのだが、時間がなかったので、水に浸けておける場所まで非舗装の林道を原付 (スーパーカブ)で引き摺って運ぶ、ということをした。シカの脚とカブの荷台は、細いワイヤーで繋いである。シカでもイノシシでも、中型までの個体であれば、70ccのカブで引き摺ることは可能である。

ちなみに、シカやイノシシを引き摺って移動させる際、頭が前になるように引っ張るほうが、毛の向きと逆らわないので楽に引ける、ということを強固に主張する人がいるが、私はどちらかというと後脚を括って引く派である。平らな雪の上で引っ張るような場合は、確かに頭を先にした方がいいと私も思うが、地面の凹凸や倒木などの障害物があるなら、後脚を引く方が引っかかりにくいと感じているからである。議論しても仕方ないので、頭を前にして引っ張れと先輩猟師に言われたら従うが、自分では脚を先にして引っ張ることが多い。罠で止め刺しをした際、後脚よりは前脚の方が血で汚れている割合が高いので、ワイヤーではなくロープを使う場合は汚れにくいという利点もある。