しかあしまきまき

2020年9月28日にニホンジカ♀1頭を捕獲した (有害鳥獣捕獲) (写真上)。罠は製品名不明の笠松式で、ワイヤーは右後脚に掛かっていた (主蹄と副蹄の間か、副蹄の上かは不明)。

発見時には例のごとく小径木にワイヤーが巻き付いて、脚の骨が剥き出しになっていた。押しバネを使った罠は、ヨリモドシから先が長くなってしまいがちなので、細い木の多い場所で使用すると、このようなことになりやすい。それは分かっているのだが、この場所は捕獲して頭数を減らすことが優先される場所であり、なおかつ鹿の通り道が絞りにくいという特徴があるので、当たり判定の大きい笠松式の罠を使用している。

2020年10月5日にも同じエリアで、同じ笠松式の罠で鹿♂1頭 (幼獣)を捕獲し (有害鳥獣捕獲)、ワイヤーは左前脚の副蹄より上に掛かっていた。前述の個体と同様に、ワイヤーで括られた脚が小径木に巻き付いた状態で、発見時には死亡していた (写真なし)。

2020年10月11日には9月28日とほぼ同じ設置場所で、同じ笠松式の罠で鹿♂1頭 (幼獣)を捕獲した (有害鳥獣捕獲) (写真下)。ワイヤーは左前脚の副蹄より上に掛かっていた。この個体は幸いにも小径木に巻き付くこと無く、発見時に普通に立っていた。

しゅりょうないふ

狩猟で使うナイフの選び方について、書きたいと思う。

私が狩猟で主な対象としているのは、本州のニホンジカとニホンイノシシである。エゾシカやヒグマなどのより大型の哺乳類、あるいは鳥を対象とする場合には、適したナイフも変わってくると思う。

新たに狩猟を始めようという人から、どんなナイフが良いかと聞かれることがあるが、私は「刃渡り8cm以上で、刃の厚みがあり、シースナイフもしくはロックが確実にできるフォールディングナイフ、材質はステンレスが良い」と答えている。

刃渡り8cm以上というのは、放血のため首の血管を切ったり、枝肉まで解体したりするのに、最低でもそれくらいの長さは必要だろう、ということである。どうしてもやれと言われれば、刃渡り5,6cmのナイフでも何とかなるが、ある程度慣れたらの話である。わざわざ短いナイフを選ぶ理由も特に無いと思うので、刃渡りは8cm以上、できれば10cmぐらいの物を選ぶのがお勧めである。逆にあまり長すぎると、取り回しが悪い、重い、嵩張る、悪い意味で目立つ、といったデメリットが出てくる。刃渡り15cmを超える大型のサバイバルナイフのような物は、木の枝を叩き切ったり、薪を割ったりするのには便利だろうが、罠猟でも銃猟 (日帰りの巻狩・単独猟)でも、そういったことをすることはほぼ無いと言っていいと思う。罠の場合、邪魔な倒木や枝葉がある場合は事前に処理しておくので、普段から持ち歩いている必要はないし、そのための道具としては鋸や鉈を使う方がよい。銃猟の場合も、歩きやすい場所を選んで通れば済むことが殆どで、あまりガサガサやっては獲物が逃げてしまう。

次に刃の厚みであるが、フィッシュナイフのような薄い刃では、暴れる獣の首筋に突き刺す、といった使い方をするのに不安があるので、ある程度の厚みがある方が良い。材質や形状にも依るので、厚さが何mmあれば良い、とは言えないが、私が使っている、刃渡り10cmぐらいのシースナイフが厚さが5mm、別の同じく刃渡り約10cmのシースナイフで2.5mm、刃渡り約8cmのマルチツールの刃が2.3mm厚だった。5mm厚のものが重量もあり一番頑丈な感じだが、2.3mm厚のものでも小型のシカを放血させるのには問題なかった。獣をちゃんと固定し、確実な場所に刃を入られる自信があれば、大型のシカや猪が相手でも、私の使っている中で言うと2.5mm厚の軽いものの方が使いやすいように思うが、経験が少なく自信がない場合は、少し厚めの刃のものを使った方が安定しやすいかも知れない。

続いてシースナイフかフォールディングナイフか、という点であるが、ロック機構の無い、あるいは不安定なナイフは論外である。突き刺しに使えないのは勿論、解体作業を長時間行うにも不向きである。フォールディングナイフの利点は、全長が短くなるということしか無いので、1本目にはシースナイフを購入し、予備として2本目にフォールディングナイフを買うというのがお勧めである。狩猟では、罠にかかった動物を放血させ殺し、車で別の場所に運んでから解体、という流れになることも多いのだが、止め刺しをした場所にナイフを忘れてきてしまうことが稀にある。こうした場合には、フォールディングナイフでも予備に持っておくと役に立つ。

刃の材質については、色々あって私もそれほど詳しくはないのであるが、狩猟では水に濡れることも多いので、ステンレスの方が良いと思っている。研ぎ易さや切れ味よりも、管理が楽なことが優先である。

他に選ぶ際の基準になりそうなもので言うと、まずは握りやすいハンドル形状・材質で、なるべくなら鍔がある方が良い。これは、血や脂が付いても握った部分が滑りにくく、刃で自分の指を切ってしまわないためである。あとは、ハンドルやシースが手入れがしやすい材質かどうか。革や木材は見た目や質感が良いが、長持ちさせるには手入れの必要なものである。狩猟で使っていく上では、傷や汚れは避けられない。

最後にデザインについて。狩猟は刃物を所持する正当な理由になるので、法律で規制されているもの (飛び出しナイフ等)でなければ、何でも良いといえば良いのだが、所持あるいは使用しているのを他人に見られた場合、恐怖感を与えないデザインというのは重要だと思っている。あるいは、警察官などに職務質問や任意の所持品検査 (任意と言いつつ断れないことが多い)をされる可能性を考えた場合、タクティカルナイフやミリタリーナイフと呼ばれるデザインの物が、持ち歩くのに相応しいかということは、買う前に考えたほうが良いと思う。

色々書いてきたが、一般にハンティングナイフとして売られているものであれば、普通は狩猟用途で困らない。あとは自分の手に合った使いやすいものを選ぶのが大事である。使っているものに不満が出てきたら、買い足したり買い替えたりすればいいので、1本目から高価なナイフを購入する必要も無い。