しゅりょうないふ

狩猟で使うナイフの選び方について、書きたいと思う。

私が狩猟で主な対象としているのは、本州のニホンジカとニホンイノシシである。エゾシカやヒグマなどのより大型の哺乳類、あるいは鳥を対象とする場合には、適したナイフも変わってくると思う。

新たに狩猟を始めようという人から、どんなナイフが良いかと聞かれることがあるが、私は「刃渡り8cm以上で、刃の厚みがあり、シースナイフもしくはロックが確実にできるフォールディングナイフ、材質はステンレスが良い」と答えている。

刃渡り8cm以上というのは、放血のため首の血管を切ったり、枝肉まで解体したりするのに、最低でもそれくらいの長さは必要だろう、ということである。どうしてもやれと言われれば、刃渡り5,6cmのナイフでも何とかなるが、ある程度慣れたらの話である。わざわざ短いナイフを選ぶ理由も特に無いと思うので、刃渡りは8cm以上、できれば10cmぐらいの物を選ぶのがお勧めである。逆にあまり長すぎると、取り回しが悪い、重い、嵩張る、悪い意味で目立つ、といったデメリットが出てくる。刃渡り15cmを超える大型のサバイバルナイフのような物は、木の枝を叩き切ったり、薪を割ったりするのには便利だろうが、罠猟でも銃猟 (日帰りの巻狩・単独猟)でも、そういったことをすることはほぼ無いと言っていいと思う。罠の場合、邪魔な倒木や枝葉がある場合は事前に処理しておくので、普段から持ち歩いている必要はないし、そのための道具としては鋸や鉈を使う方がよい。銃猟の場合も、歩きやすい場所を選んで通れば済むことが殆どで、あまりガサガサやっては獲物が逃げてしまう。

次に刃の厚みであるが、フィッシュナイフのような薄い刃では、暴れる獣の首筋に突き刺す、といった使い方をするのに不安があるので、ある程度の厚みがある方が良い。材質や形状にも依るので、厚さが何mmあれば良い、とは言えないが、私が使っている、刃渡り10cmぐらいのシースナイフが厚さが5mm、別の同じく刃渡り約10cmのシースナイフで2.5mm、刃渡り約8cmのマルチツールの刃が2.3mm厚だった。5mm厚のものが重量もあり一番頑丈な感じだが、2.3mm厚のものでも小型のシカを放血させるのには問題なかった。獣をちゃんと固定し、確実な場所に刃を入られる自信があれば、大型のシカや猪が相手でも、私の使っている中で言うと2.5mm厚の軽いものの方が使いやすいように思うが、経験が少なく自信がない場合は、少し厚めの刃のものを使った方が安定しやすいかも知れない。

続いてシースナイフかフォールディングナイフか、という点であるが、ロック機構の無い、あるいは不安定なナイフは論外である。突き刺しに使えないのは勿論、解体作業を長時間行うにも不向きである。フォールディングナイフの利点は、全長が短くなるということしか無いので、1本目にはシースナイフを購入し、予備として2本目にフォールディングナイフを買うというのがお勧めである。狩猟では、罠にかかった動物を放血させ殺し、車で別の場所に運んでから解体、という流れになることも多いのだが、止め刺しをした場所にナイフを忘れてきてしまうことが稀にある。こうした場合には、フォールディングナイフでも予備に持っておくと役に立つ。

刃の材質については、色々あって私もそれほど詳しくはないのであるが、狩猟では水に濡れることも多いので、ステンレスの方が良いと思っている。研ぎ易さや切れ味よりも、管理が楽なことが優先である。

他に選ぶ際の基準になりそうなもので言うと、まずは握りやすいハンドル形状・材質で、なるべくなら鍔がある方が良い。これは、血や脂が付いても握った部分が滑りにくく、刃で自分の指を切ってしまわないためである。あとは、ハンドルやシースが手入れがしやすい材質かどうか。革や木材は見た目や質感が良いが、長持ちさせるには手入れの必要なものである。狩猟で使っていく上では、傷や汚れは避けられない。

最後にデザインについて。狩猟は刃物を所持する正当な理由になるので、法律で規制されているもの (飛び出しナイフ等)でなければ、何でも良いといえば良いのだが、所持あるいは使用しているのを他人に見られた場合、恐怖感を与えないデザインというのは重要だと思っている。あるいは、警察官などに職務質問や任意の所持品検査 (任意と言いつつ断れないことが多い)をされる可能性を考えた場合、タクティカルナイフやミリタリーナイフと呼ばれるデザインの物が、持ち歩くのに相応しいかということは、買う前に考えたほうが良いと思う。

色々書いてきたが、一般にハンティングナイフとして売られているものであれば、普通は狩猟用途で困らない。あとは自分の手に合った使いやすいものを選ぶのが大事である。使っているものに不満が出てきたら、買い足したり買い替えたりすればいいので、1本目から高価なナイフを購入する必要も無い。

おれのさよりつり

サヨリは抜き上げるのがとにかく楽しい。

私の家から海までは車で2時間ほどかかるので、サヨリのような小魚を100匹釣ったくらいでは、ガソリン代の元もなかなか取れないのであるが、それでも秋になると行ってしまうのがサヨリ釣りである。いかにお金を掛けず効率よくサヨリを釣るか、ということを考えて私が実践している釣りを紹介したいと思う。

世の中には、「〇〇の正しいやり方」などと称して方法論を説いてくるコンテンツが多いが、私が紹介するのはあくまで「私の」やり方である。正しいとか間違っているとかそういったことを主張するつもりはない。魚釣りなどというものは各人が思い思いに好きな方法でやれば良いのである。

[場所]
私が行く日本海側の港は、家から車で1時間半〜2時間かかる距離である。当たり前だが、サヨリが回遊してくる場所でないと釣ることはできないので、サヨリが回ってきているかどうかの情報を収集するのが大事である。

[タイミング]
私は延竿で軽い仕掛けを使うので、風が強い日は釣りにくい。釣れる場所には人が集中しがちなので、平日など人が少ない日に行くのが良い。小雨が降っていてもサヨリは釣れるが、釣り人は少なくなるので、微妙な天気ならば土日でも行くことがある。常にサヨリがいるような場所では、明るい時間帯であればずっと釣れるので、朝6時くらいから釣り始め、昼頃に納竿することが多い。昼から夕方でも勿論いいのだが、日の出前(4〜6時)と日没後(18〜20時)では、明らかに日の出前のほうが交通量が少ないので、午前中に釣りをする方が、移動時間もガソリン代も減らすことができる。

[装備]
シーズン中でも長袖Tシャツ1枚で汗をかく暑い日もあれば、ライトダウンにレインウェアを着て釣る肌寒い日もある。基本的に動かない釣りなので、時間帯や急な天候の変化に合わせて、快適な状態で釣りが出来るよう、調整できる服装を用意しておくのがよい。下は作業ズボンにレインウェア、足には長靴を履いていることが多い。どうしても暑いときはレインウェアを脱いで釣りをすることもあるが、そうするとサヨリの鱗がズボンについて汚れてしまう。

[道具]
基本的に軽トラで行くので、持っていく道具の量に制約は無い。大きなバケツには海水を入れておき、手を洗ったり釣ったサヨリを一時的にそこに入れておくのに使う。小さなバケツには寄せ餌の糠を入れておき、大きなバケツに入れた海水を混ぜながら撒く。基本的には座って釣るので、折りたたみ椅子も持っていく。

釣具は以下のようなものを使う。

竿: 4.5mか5.4mの延竿。釣場とサヨリの寄り具合によるが、私の行く場所では5.4mが使いやすい。リール竿を使っても釣れるが、手返しが悪くなるので、延竿で届く範囲に魚がいるならリール竿はお勧めしない。調子は硬調の方が良いと思う。サヨリがかかれば一気に抜き上げることになるので、ぐにゃぐにゃした竿ではやり難かろう。ブランドの高価な竿を使う必要性は無く、中古品でも全く問題ない。

道糸: 1.5号程度の安いナイロンラインを使っている。手返しを良くするには、道糸の長さを適切に調整しておくことが重要である。最初は[竿の長さ]-[仕掛けの長さ]で取っておいて、少しずつ詰めていくのが良いと思う。道糸の先には、小型のヨリモドシ (自動ハリス止めタイプが良い)を付けておく。

浮き: 色の違う蛍光シモリウキを2つ、竹串を細く削ったもので栓をし止めている。針とヨリモドシ以外のオモリは付けないので、シモリウキは2つとも水面に浮いた状態になる。風があって仕掛けを前方へ飛ばしにくい場合は飛ばし浮きを使うこともあるが、水面に仕掛けを落としたときにサヨリの群れが散らないようにするには、なるべく軽くて小さいものを使うのが良い。サヨリのアタリは、多少の潮流がある中で、浮きが横方向へ移動するのを見やすくするために、シモリウキを複数付けている。下の浮きはヨリモドシのすぐ上、浮き同士の間隔は7,8cmぐらいである。

仕掛け: 道糸についたヨリモドシの先は、ハリス長を10〜20cmほどとって針を1本付けるだけである。自動ハリス止めを使っている場合は、ハリスに結びコブを作ってそれを引っ掛けるようにして止める。浮きをヨリモドシのすぐ上に付けているので、ハリス長≒ウキ下長となるが、これが水面からサヨリのタナまでの長さより長いと、より下層にいるアジやグレに餌を喰われやすくなる。ハリスの太さは0.6~0.8号が良いだろう。ハリス付きでない針を使う場合は、当然ながら針に適合する太さの糸を使う。

撒き餌: 最初のうちはアミエビと糠を1:2くらいで混ぜたものを使っていたのだが、近くで釣っていた常連さんに、「なんて勿体ないことをしているんだ」と言われてしまった。サヨリは糠 (無料で手に入る)だけでも十分寄せることができるので、アミエビを混ぜる必要はないということである。そう言われて私も糠だけでやってみたが、確かに糠だけで十分である。

付け餌: アミエビを使う。コマセ用に売られている冷凍ブロックを使う場合は、針につけて身が崩れないものを選定する必要ある。挿し餌用のアミエビも売っており、こちらの方が餌付けはしやすい。

[基本の釣り方]
まずは、撒き餌を使ってサヨリの群れを寄せる。サヨリは水面直下を泳いでいるので、居れば姿が見えるし、水面に波が立つ。サヨリが寄っているのを確認できたら、仕掛けを投入するのだが、群れの真ん中に落とすと魚が散ってしまうので、群れの進行方向か脇に落としてやるのが良いと思う。
餌付けは、アミエビの頭からでも尻尾からでもいいが、針先が隠れるように通して刺す。チョンがけでも喰うときは喰うが、見切られたり、餌だけ取られたりする可能性が高まるように思うので、多少時間がかかっても丁寧にやるようにしている。
私の観察した限りでは、サヨリは餌の近くに来ると一旦止まって (あるいは泳ぐスピードを落とし)喰うか判断し、口に入れてからゆっくり泳ぎ出す。この時、浮きは少しピクピクと浮き沈みした後に、横方向へ走ることとなる。サヨリのアタリで、浮きが下方向に消し込むことは稀である (消し込む時は小型のアジやグレ、ヒイラギであることが多い)。針のサイズと魚のサイズのバランスにも依るが、浮きが横方向へ移動する前、その場で小さく浮き沈みしている時が最初のアワセ時である。これが分かりにくい場合は、浮きが横方向に動いた段階でアワセることになるが、魚に対して針が小さいと、この時点では既に針が飲み込まれていることが多く、取り外すのに手間取ることになる。
アワセたら即抜き上げて、魚をキャッチする。サヨリの口は固いので、糸が弛むと簡単にバラしてしまう。針を外したサヨリは一旦、海水を入れたバケツに放り込み、ある程度溜まったらまとめて保冷バックに入れるようにしている。こうすると、保冷バックを開ける回数が減るので、保冷力が失われにくい。針を飲み込まれた場合は、サヨリの頭を折ってエラの部分を開き、針を外すようにしている。私はサヨリのユニークな形状を愛でるので、針を飲み込まれたもの以外は、内臓だけ抜いて頭を付けたまま塩焼きにするのを好む。頭を折って取り除いたものは、開いて背骨を取り、天ぷらにすることが多い。

[撒き餌について]
撒き餌の仕方というのがサヨリ釣りの肝の一つで、サヨリの群れを自分の前に留めておけるかが数釣りの鍵となる。撒き餌が少な過ぎたり間隔が空き過ぎれば、サヨリの群れがどっかへ行ってしまうと言うのが想像しやすいが、だからと言って沢山撒けばいいというものでもない。加えて、撒き餌の位置やバラけ具合も考慮する必要がある。サヨリ釣りで困ることの一つが、仕掛けをボラに切られることである。撒き餌なしで餌 (アミエビ1匹)のついた針を水中に入れても、ボラが食いつくことは殆ど無いようだが、撒き餌として入れた糠には凄いスピードでやってきて吸い込んでいく。そのため、仕掛けの針を撒き餌の煙幕の中に投入してしまうと、針も一緒にボラが吸い込んでしまうことがある。撒き餌の中心から外れた場所に仕掛けを投入するのが、ボラを釣ってしまわないためのコツである。また、糠を団子状の塊にして投入してしまうと、その塊ごとボラに食べられてしまうので、撒き餌の効果が薄くなるような気がしている。撒き餌はパラパラの状態にして、ある程度広範囲にバラけるように打つのが良い。

[手返しを良くする工夫]
数を釣ろうと思ったら、まずリール竿ではなく延竿を使うべきだと思う。サヨリが手前に寄る場所なのに、リール竿で遠くに仕掛けを投げて釣ろうとする人がいるが、これでは効率が悪い。アタリが分かりにくいからアワセも遅くなるし、引き寄せて来る間にバレる可能性も高くなる。
抜き上げた後、私は浮きと針の間のハリスを手で持ち、サヨリを脚の間に挟んで押さえつけるようにしている。釣れる度にトングで掴んで針を外す人もいるが、それでは時間の無駄である。
針とハリスは、何種類か持っておくと状況に合わせて調整できる。サヨリが喰って針に掛かるのであれば、針は大きくハリスは太い方が、飲まれたり切れたりするトラブルも少なく、手返しは良くなる。しかし、状況に依っては、餌の近くにサヨリが来ているのに、喰わない、あるいは針掛かりしない、ということがある。そういうときは、小さい針、細いハリスに変えてやると、釣れるようになる場合がある。時間帯やサヨリの大きさにより、最適な針やハリスが変わるのだと思われる。
釣場の高さにもよるが、基本的には立って釣る方が、水中にいるサヨリの姿を確認しやすく、サヨリが餌を食べた瞬間を目で見てアワセることもできる。他方、座って釣ると水中の様子は見難いが、取り込みや餌付けはスムーズに行える。サヨリの群れが大きく、入れ喰いのときは座って釣るほうが効率がよく、小さい群れを追いかけながら釣るような場合には立って釣るほうが釣果は上がると思う。
餌のアミエビはとにかく針持ちが悪いので、浮きにアタリが出ないまま、餌だけ取られることも多い。餌のついていない針を水中に入れていても釣ることは出来ないので、ある程度のタイミングで仕掛けを引き上げ、餌がちゃんと付いているか確認することがタイムロスを減らすことになる。私の感覚では、サヨリの群れが餌の近くを通り過ぎたら、アタリが無くても引き上げたほうがいいと思っている。

なつのゆうがい

7,8月にかけて、3頭のシカを罠で捕獲した (有害鳥獣捕獲)。

2020/7/15はニホンジカ♀1頭を捕獲した。罠は製品名不明の笠松式で、ワイヤーは左前脚の主蹄と副蹄の間に掛かっていた。発見時に死亡していたため、写真はなし。

2020/7/25はニホンジカ♂幼獣1頭を、檻で捕獲した (写真上)。

2020/8/18はニホンジカ♂幼獣1頭を、同じく檻で捕獲した (写真下)。

7/25と8/18は同じ檻での捕獲で、この檻が置かれた場所では子連れのシカが多く見られる。親も一緒に入ってくれればありがたいのだが、なかなかそうはならない。

檻でも括り罠でも、幼獣の捕獲があった場合は大抵、発見時に母親と思われる♀成獣が近くにいる。人間が近づいていくと親は逃げるが、離れた場所からじっと見守り続けるものもいる。檻に幼獣だけが入った場合、親は檻の周りをぐるぐるするので、檻の周りに括り罠を掛けておけば、親も一緒に捕れるかもしれないと思ったが、まだ試してはいない。