にじみでるあくい

錯誤捕獲→射殺→クマ肉販売@岐阜: 新・新・優しい雷(復刻あり) – [1]
「括り罠設置現場で銃猟捕獲したクマ」岐阜県御回答: 新・新・優しい雷(復刻あり) – [2]
「括り罠設置現場で銃猟捕獲したクマ」岐阜県御回答(2): 新・新・優しい雷(復刻あり) – [3]

 読者の誤解を避けるため、同一の記事に書くべきでは?とは思うが、記事を細切れで書いて推定を多く挿むというのはこのBlogでは常套手段のようである。単純に読み物としても面白いので、狩猟に関心がある人は、読んで損が無いと思う一連の記事である。

 私が感じたのは、とにかくこれらの記事の著者(yutan氏)は面倒な奴であるということだ。[2]で示されたyutan氏の質問と岐阜県環境生活部の回答についてはあまり問題が無いが、[3]で示されたyutan氏の質問内容と、その回答に対する意見を読むと、「面倒な奴だ」という感想以外出てこない。[3]には「未掌握の場合、掌握されたしです。」という文言が多数登場するが、これを読んだ岐阜県の担当者はイラっと来たに違いないと私は思う。

 例えば[3]で、

Q2
狩猟者の中には括り罠に撒き餌を撒く方々もいらっしゃるそうですが、当事案の場合、どうだったか御掌握はされていますでしょうか?未掌握の場合、掌握されたしです。

A2
使用されていません。

(中略)

各御回答について現時点での私の所見を以下に述べましょう。

(中略)

A2
上記同様、実際に確認されたのか、聴き取りの結果なのか定かではありません。

とあるのだが、この撒き餌が云々というのは、今回の主要な論点とは少し離れている。[2]には、

かりそめにも人の存在に気づかずに出てきた場合、狩猟者は括り罠誘導のための寄せ餌を付近に撒いていなかっいたでしょうか?寄せ餌がなされていたのであれば本来の誘導目的が裏目に出た可能性の有無なども県当局は検証すべきではないでしょうか?

とあるが、たとえ寄せ餌が使われていたとしても、クマが実際に寄せ餌に誘引されたのか確かめるなど不可能である。「イノシシ用の寄せ餌があってその付近にクマがいたのなら、それはクマが寄せ餌に誘引されたのではないか」、という推論を行うことは自由であるが、その推論を行ったところで、意味のある行動決定には至らない。検証すれば何でも分かるだろう、と考えるのは愚かである。

 同様に、前述の[3]における記述も、

A2
上記同様、実際に確認されたのか、聴き取りの結果なのか定かではありません。

とあるが、この書き方だと、聞き取り調査では不十分で実地検分が必要だという見解に見える。そもそも、括り罠の周辺に撒き餌をすること自体には違法性が無いのであるから、撒き餌は取り立てて隠蔽する必要のある行為ではない。そして、もし撒き餌をしたかどうかが非常に重要な問題で、狩猟者の言葉が信頼できないとしても、クマが出没した周辺一帯に全く撒き餌がなされていなかった、と結論付けるため行政が「実際に確認」するというのはどう考えても非現実的である。ちょっと考えれば分かるようなことが、yutan氏には理解できていない(or 持論展開のため無視している)。想像力の欠如である。

 もし、今回のyutan氏がしたような質問に、狩猟が行われた地域の行政が毎回答えなければならないとすれば、聞き取り調査に限ったとしても、本当に面倒な話で、現実的ではないと言わざるを得ない。[1]で、「イノシシ用の罠にクマがかかって殺されたのではないか?」と疑問を抱くのは当然であるし、その結果(2)で示されたような質問をするのはそれほど不自然なことではないと私は思う。しかし、[3]で示されたyutan氏の質問内容を見ると、上で書いた撒き餌の件に限らず、なんとか粗探しをして(推測を差し挟み)非難してやろうという意気込みを抱いているようにしか思えない。しかも、[3]では岐阜県環境生活部の回答に悪意のある推定とケチをつけた状態で終わっており、それ以上の後記が無いことと記事の投稿日時を鑑みるに、岐阜県環境生活部との文面によるやり取りを終えていると見られる。こういう書き方はフェアではない。

はじめてのえもの

推定100kgのニホンイノシシ♂

2014年01月27日、私が設置していた罠に初めて、獲物がかかった。推定100kg、5,6歳 (師匠談)のニホンイノシシ (雄)である。

Wikipediaにはイノシシの寿命について、「野生下での寿命は長くて10年であり、一年半で性成熟に達する」と書かれている (イノシシ – Wikipedia)。イノシシは狩猟獣の中でも価値の高い部類に入り、狩猟圧が大分かかっていることから、特に都市部周辺の山においては、5,6歳に達する個体は珍しいそうである。

そんな珍しい大型個体が初めての狩猟による捕獲個体になったわけで、私としては大興奮であった。はっきり言って、モンハンなんかやってる場合ではない! (かくいう私もプレイ時間はMHP3だけで300時間を超えているが)

罠猟の場合、設置した罠は原則として毎日見廻らなければならないので、私も少し遅めではあるが、毎日午前中の10時頃に狩場へ赴き、罠を確認していた。しかし、法律で決められた上限、30個もの罠を仕掛けているならともかく (それはそれで見廻りに時間がかかるが)、4つ程度仕掛けたところで、そう簡単に獲物がかかるわけがない。だから毎日、「今日もかかってねぇな」とため息をつき、3日ぐらい続けた後は「どうせ今日もかかっちゃいねぇだろ」という感じで見廻りに出発していた。ところが、罠猟を始めて6日目、期待をせずに罠を仕掛けてあった場所に向かうと……

罠にかかったニホンイノシシ

ニホンイノシシ (Sus scrofa leucomystax)である!私はこれを100m程度離れた位置から発見したのであるが、最初はこの動物の尻だけが見えていたため、大きさからしてツキノワグマではないかと疑った程である。

恥ずかしながら、私が野生のニホンイノシシを見たのは、おそらく4年ぶり2回目で、前回は登山中に、ウリ坊を引き連れた中型個体を見ているのだが、今回のようにまじまじと観察できたのは初めてなのだ。

その後、猟銃も持っている師匠に連絡を入れ、撃ってもらった。冒頭の写真は撃たれた直後のものである。なお、写真を見るとイノシシがいるすぐ側に道があるように見えるが、これは一般の人が通るような登山道や生活道路では無い。

今回記事で書いた内容には、前段階として狩猟免許の取得から罠の設置、後段階として解体から消費と色々付随する部分があるのだが、そういった点も含めて、今後このBlogで記していきたいと思う。

私は哺乳類や鳥類が専門では無いが、現在は大学で生態学を学んでいる身である。狩りの対象となる動物の生態についてだけでなく、農業・環境が関わる問題、また法律に関することなど、様々な側面から狩猟について考え、記事を書いていけば、役立つ情報を発信できるのではないかと考えている。