かめらそのいち

FAR夢の販売するセンサーカメラ、WAM CAPTURE01を使用する機会を得られたので、撮影サンプルなどと共に紹介したいと思う。このセンサーカメラは鳥獣被害対策を目的として、役所から渡されたもので、私が購入したものではない。楽天市場での販売価格を見ると、30000円前後の商品らしい。製品としては、SiFar 2.6Cのメニュー表示を日本語化してロゴなどを追加したものと思われる。

以下の撮影サンプルは全て、私が設置した個体で撮影したもので、撮影条件は以下のとおりである。各写真をクリックして表示されるのは、全く加工をしていない原寸大かつ非再圧縮の画像ファイルである。

モード:写真
バージョン:2.6.0.G32
連射:3P
写真サイズ:12M
動体検知感度:中
赤外線LED:40

まずは動物が何も写っていない日中 (12時30分頃)の写真。全体的に見ると綺麗だが、ドットバイドットまで拡大すると、荒いのが見て取れる。解像度12M (4000x3000px)は最高設定なのだが、わざわざこの解像度にして容量を食わせるよりも、8Mや5Mの設定にした方が良い可能性もある (試していないので不明)。

続いて夜 (21時頃)の写真。イノシシ4頭が写っているが、各個体の大きさなどを確認することができる。やはりドットは荒いので、12Mにする意味は少ないかも知れない。

これはツキノワグマが写った写真。民家に近い場所だったので、役所にも提出した。クマは画角の右端から現れ右端に消えていったが、きちんと感知して撮影できていることが分かる。

こちらはタヌキの写った写真。中型動物にも反応して撮影できていることが分かる。

ちなみに、捕獲の様子を撮影しようとすると、当然ながら画角に檻 (罠)が入り込むことになるが、実際に捕獲があると、中に入った動物が画角内で動き続けることになるので、膨大な数の写真が撮影され、電池とSDカードの容量を食うことになるのは注意が必要である。この場所では檻の入り口付近のみが画角に入っているが、上記の設定で20:45頃に捕獲があった際は、翌日7:30までの間に約1900枚の写真が撮影され、写真のファイルサイズ計はおよそ4.4GBとなった。単純に考えると、連写設定 (3P)を切れば撮影枚数と容量は1/3程度になるだろう。

別の場所で、中型動物用檻の前に設置し撮影した写真。リスが写っていることから、小型動物にも反応できていることが分かる。

さらに別の場所で、括り罠設置場所付近を撮影した写真。ネズミと思われる、極小型の動物が写っている (下側の位置解説画像は縮小・再圧縮してある)。3枚連続で撮影する設定にしているので、手元には前後の写真もあり、動いている箇所を判別できるが、ここまで小さいと1枚の写真では写っているのが分からないくらい小さい動物にも反応し、撮影できていることが分かる。

もっとも、カメラの前を通った動物全てが撮影されたか確かめる術はないので、あくまで記録されていたものだけを見て、「この程度の距離・大きさで反応し撮影できることもあった」と考えるのが良いだろう。

撮影サンプルはこの辺にしておいて、あとは使用感について記したいと思う。

他の機種と十分比較したわけでも、何らかの測定をしたわけでもないが、印象としては電池の消費が早めである。それと気になるのは、背面に予備電池 (単三x4)を入れている際も、どうやら本体側の電池 (単三x4)から優先的に電力を供給している点だ。この機種は、撮影した写真を本体のディスプレイで確認しようと思うと、背面の予備電池と本体を分離する必要があるが、本体側の電池が切れているとディスプレイが映らないので、写真を確認できない。仕方ないので本体側の電池を抜き取って背面の予備電池と交換すると、予備電池の方は電力が残っているので使える。予備電池が本体と接続されている時は予備電池の方から使うようにすれば、このような面倒なことは起こらないのに、と思う (その場合は”予備”ではないとも思うが)。あと癪に障るのは、その予備電池の一部が非常に取り外しにくいことである。屋外で木などにベルトを巻いてベース部分 (予備電池入れ)を設置したまま、電池を交換するということは、運用する上で十分考えられるシチュエーションだと思うのだが、これが簡単にはいかない。私のやり方が悪いだけかも知れないが。

加えて、撮影された画像の回収に関してであるが、SDカード自体を交換してやれば勿論何の問題も無いわけだが、これだとSDカードが余分に必要になるし、SDカードを差し直した際に自動撮影を再開させるボタン操作が必要になる (そのボタンを押すには本体と背面の予備電池を分離する必要がある)。なるべくならカメラを設置したまま、手持ちの端末 (スマートフォンやタブレット)に画像を抜き出せ、なおかつ自動撮影が勝手に再開されると便利である。この機種の場合、USBケーブルでコンピュータと接続すると、自動撮影は一旦停止するが、ケーブルを取り外すと他の操作なしに自動撮影が再開されるので、これならiPhoneやiPadとUSBケーブルで繋いで写真を回収できるかと思ってやってみたが、Apple純正のLightning – USBカメラアダプタを使用したところ、電力が足りないというメッセージが出て、記録された画像を抜き出すことはできなかった。SDカードを本体から抜いて、Lightning – SDカードカメラリーダーを使えばiOSデバイスに写真を取り込むことはできるが、その場合は前述のように自動撮影を再開させるボタン操作が必要になる。 (2020/1/31追記: ZenPone MAX M2と適当なOTGケーブルを介して繋いだところ、問題なく写真の取り込みが行えた。ZenPone MAX M2はリバースチャージ機能も備えているので、USB機器への給電力が高いと思われる。他のAndroid端末で同様に写真の取り込みが可能かは不明。)

全体として、電池の残量確認や交換を丁寧に行えば、撮影能力は高そうである。大量に、長期に運用することを考えるならば、電池やその交換にかかるコストを他機種と比較したほうが良いかも知れない。

ぽんぽこさくご

くくり罠で錯誤捕獲されたホンドタヌキ1609110216091103有害捕獲のため設置していたくくり罠で、2016/09/11にホンドタヌキが掛かっていた。

2年程前にも別の場所でタヌキが掛かったことがあったが (参照: さくごほかくぽん – 狩場の馬鹿力)、今回も錯誤捕獲となる。

前回は2人がかりでワイヤーを脚から外し、タヌキを逃がしたが、今回は1人で行ったので、その模様を紹介したいと思う。

今回、タヌキが掛かったのは、押バネを使うタイプのくくり罠だったので、とりあえず輪とは反対側の留具を開放した。しかし、くくり金具がきちんと機能しており、それだけでワイヤーの輪は緩まず、タヌキも逃げることはできない。

そこで、バイクに積んであった古いレインウェア(下)を使うことにした。既に何箇所か穴が開いていて、防寒ぐらいにしか役立たなくなっている。これをタヌキの頭に被せて大人しくさせる作戦である。

そこら辺に落ちていた木の枝を使って上手いことレインウェアをタヌキの頭に被せてやると、それまで唸ったり噛み付いてきたり (芯入りの安全長靴なので被害なし)していたタヌキが、驚くほど無抵抗になった。そこで、片足で肩の辺りを軽く押さえつけながら、ペンチを使って左前脚に掛かっていたワイヤーを緩め、脚から外した。レインウェアを被せた後は、全く暴れることが無く、スムーズに外すことが出来た。

しかも、ワイヤーを外して押さえつけていた足をどけたら、すぐに勢い良く逃げていくかと思いきや、タヌキはしばらく動かず、被さっていたレインウェアを棒でよけたら、しばらくしてやっと逃げていく、という悠長さだった。布で頭を覆って目隠しするのは相当に有効なようである。

こうして、タヌキにほぼ触ること無く (レインウェア越しに軽く踏んだだけ)、タヌキを開放することが出来た。猟期中であったとしても、私にとってタヌキは狩猟対象でないので、今後もタヌキを開放させる必要は生じてくるだろうが、今回の手順で行っていこうと思う。

↑罠にかかったホンドタヌキ

↑ワイヤーを外したのに気づかず、寝転ぶホンドタヌキ

さくごほかくぽん

ホンドタヌキ 有害捕獲のため設置していた罠にタヌキがかかっていると連絡を受け向かったところ、確かにホンドタヌキ (Nyctereutes procyonoides viverrinus)が罠にかかっていた。

 現場は鳥獣保護区であるが、農業被害軽減のためニホンジカ捕獲の許可が降りており、計4つの足括り罠を設置していた。ホンドタヌキは狩猟鳥獣ではあるものの、私が受けている許可において有害捕獲の対象ではないため、この場合は錯誤捕獲となる。

 罠猟における錯誤捕獲とは、猟期であれば非狩猟鳥獣 (ニホンザル、カモシカ等)、および罠で捕獲することが許可されていない狩猟鳥獣 (ツキノワグマ、ヒグマ、鳥類全般)、有害捕獲では指定された種以外の鳥獣、を捕獲してしまうことを言う。

 錯誤捕獲は動物愛護や環境保全の観点から問題であり、狩猟者からしても放獣の手間や罠の破損を考えると避けたいものである。この点について、中には罠猟そのものを否定する声や、使用できる罠の制限をより厳しくすることを求める向きもあるが、これまでにも行政により幾つかの対策が講じられている。トラバサミは錯誤捕獲が生じ易くまた捕獲時に鳥獣に与えるダメージが大きいとして法改正により使用が禁止されている。足括り罠における輪の直径が12cm以下と定められたのもクマ類の錯誤捕獲を防止する目的である。また足括り罠で締め付け防止金具の装着が必須となっているのは、イエイヌ等の非狩猟鳥獣がかかったときに放獣を容易にし傷を軽減する目的がある。しかしながら、やはり錯誤捕獲を完全に避けることは困難である。足括り罠を使う以上、輪の直径を12cm以下にしても子熊ならかかるだろうし、カモシカを避けてニホンジカだけを捕獲するなど無理である。ましてや今回のようにタヌキやアナグマの棲息が見込まれる区域でニホンジカだけを選択的に捕獲するというのは不可能だ。勿論、溜糞や巣穴等、明らかに対象外の獣が頻繁に利用する獣道であることを示すサインがあれば、その付近に罠を設置することは避けたいと思うが、現行の法制度下、また有害鳥獣捕獲計画下では、ある程度の錯誤捕獲が発生してしまうということは仕方ない。

罠にかかったホンドタヌキ 今回、ホンドタヌキがかかってしまった罠は、捩りばねを使用した足括り罠で、輪の直径は12cm、ワイヤーは直径4mm、よりもどし及び締め付け防止金具を装着しており、ニホンジカを対象としたものとして適法な罠である。写真では分かりにくいがワイヤーは左前足の先端にかかっていた。もう1人の従事者が布と棒を用いて押さえつけている間に、私がワイヤーを緩めて外し放獣した。罠による怪我は比較的軽度で、解き放たれたタヌキは一目散に逃げて行った。

 「ホンドタヌキ」で画像検索すると、可愛らしい表情の写真ばかり出てくるが、冒頭の写真で分かる通り、罠にかかったタヌキは恐ろしい顔をしていた。まぁ罠にかけてしまったこちらの責任なのだが、私の中でタヌキに対するイメージが随分と変わってしまった。