できのわるいやつ

2019/12/11にニホンイノシシ♂ (幼獣)の捕獲があった。罠は”だらずわな”で、ワイヤーは左前脚の副蹄の上に掛かっていた。

あまりにも久しぶりで嬉しい捕獲だったので、解説図 (写真2枚目)も作成したが、赤線が獣道 (矢印方向にヌタ場)、青線が罠の設置場所、緑がワイヤーの根元を取り付けていた木になる。

写真や動画では分かりにくいが、捕獲された個体は鼻の頭を怪我していた。おそらく、檻で捕獲された際に鉄格子に鼻を突っ込んだことでついた傷と思われる。捕獲の際に同行してくれた師匠には、「わしがこないだ逃したった奴や」と笑われてしまった。師匠は、私が括り罠を設置している付近も含め、一帯に檻を多数設置しているため、猟期開始後2~3週間の間に、特にイノシシ幼獣の捕獲が集中し、1日に5匹以上が檻に入ることもある。そうなると解体処理するのが面倒なので、捕獲された個体のうちで小さいものを、殺さず逃してやることがあるのだ。とはいえ私にとっては、自分の罠に掛かったイノシシということに変わりはない。

ことしのわなすう

猟期が始まって3週間以上経つが、現時点で私の捕獲は檻で獲ったシカ1匹のみ。去年のこの時期には、既にシカ2頭とイノシシ1頭を括り罠で獲っていた (+檻でシカ1頭)。しかも稼働している罠の数は去年より多いのに、である。悲しい……。

猟期開始から現時点までの罠設置状況を記してみたいと思う。

猟期開始以前より、有害鳥獣捕獲で檻2つと括り罠5つを稼働させていた。

猟期初日 (11/15)は、朝7時半に出発し、括り罠5つと小型の檻2つ (中型動物用)を設置。
3日目 (11/17)に、括り罠3つを設置
4日目 (11/18)に、括り罠4つを設置
しばらく括り罠17個 (狩猟12+有害5)でやっていたが、全然捕獲がないので、更に追加。
12/6には、括り罠4つを設置。これで括り罠21個。
12/7と12/10に括り罠1つずつ設置、これで括り罠23個である。

というわけで、現在は括り罠23個に大型檻2つ、それに中型檻2つが私の名義で設置されている。法律上、一人が同時に設置できる罠の数は30までなので、もう限界が近い。私が設置している罠の数としては、これまでで最も多い。というか、私の持っている罠は全て投入済みなので、これ以上入れようと思ったら買い足すことになる。

複数の罠設置場所で、イノシシが近くを通っている痕跡が出始めているので、焦らずともそのうち掛かるとは思うのだが、猟期開始初期でこれだけ捕獲が少ないと先が思いやられる。

いきなりなかへ

2019/11/25にニホンジカ♂1頭の捕獲があった。檻による捕獲で、エサには糠とヘイキューブを混ぜたものを入れていた。

ヘイキューブについては、これまでこのBlogで書いていなかったが、昨年度の有害鳥獣捕獲からシカ向けのエサとして導入している。値段は約30kg/袋で4000円程度。近所のJAで取り寄せてもらい購入している。エサとしてより一般的な糠は、タダで手に入るしイノシシに対しても効果があるが、ヘイキューブは雨にぬれても糠よりも傷みにくいという利点がある。また、イノシシが食べないということは、シカを選択的に捕獲するために使える特徴でもある。特に夏場の有害鳥獣捕獲では、イノシシに脂がのっていないので、シカを捕る方が従事者 (狩猟者)にとって良い場合がある。

今回捕獲のあった檻では、夏場の有害鳥獣捕獲も行っており、元々はヘイキューブのみを入れていたが、狩猟期に入ってイノシシの価値が上がってきたのと、設置場所の付近でイノシシの目撃が増えているという情報を元に、糠を足しておいたところであった。

私は檻にエサを入れるとき、師匠に倣って、檻の扉の前・扉をくぐって少し入ったとこ・檻の奥、の3点撒きをしている。一番奥のエサを食べようとしなければ、檻の扉は落ちないようになっている。動物は普通、手前に置いたエサから食べて段々と奥へ、時には何日もかけて入っていくイメージだが、今回捕獲されたシカは檻の入り口にあったエサに全くと言っていいほど口を付けていないのが不思議である。