はじまってるよ

2015111501

15日から今年の猟期が始まっている。昨年の初日は朝6時に出猟したが、今年は前の晩から雨が降っていたため7時半に出発した。昼以降は用事があったため、くくり罠4つを設置して初日は終了。

翌16日も午後は忙しかったため、午前中の間に見廻りと罠2つの設置をした。今後、一週間程かけて手持ちの罠15本のうち10本程度を設置したいと考えている。

写真は15日の罠設置時に発見したシマヘビ。1.2m程ある立派な個体だったが、普通に地上でうねっていた。タゴガエルと思われるアカ系のカエルも複数匹、動いているのを見かけたので、餌共々まだ活動期間内だったようだ。

わなひょうしき

鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律 – [1]

鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則 – [2]

[1]の六十二条には、

(狩猟者登録証の携帯及び提示義務等)
第六十二条  狩猟者登録を受けた者は、狩猟をするときは、狩猟者登録証を携帯し、国又は地方公共団体の職員、警察官その他関係者から提示を求められたときは、これを提示しなければならない。
2  狩猟者登録を受けた者は、狩猟をするときは、狩猟者記章を衣服又は帽子の見やすい場所に着用しなければならない。
3  網猟免許又はわな猟免許に係る狩猟者登録を受けた者は、狩猟をするときは、その使用する猟具ごとに、見やすい場所に、住所、氏名その他環境省令で定める事項を表示しなければならない。

とあり、さらに[2]の第七十条には、

(猟具ごとに表示する事項)
第七十条  法第六十二条第三項の環境省令で定める事項は、狩猟者登録証に記載された都道府県知事名、登録年度及び登録番号とする。
2  前項の事項は、金属製又はプラスチック製の標識に、一字の大きさが縦一・〇センチメートル以上、横一・〇センチメートル以上の文字で記載しなければならない。

とある。

私は、紙に印字したものをラミネート加工することで、プラスチック製に該当するようにしている。文字の大きさが要件を満たすようにすると、A4サイズの紙に標識3枚分を印刷することができ、それを裁断して標識2つをA4のフィルム1枚でラミネート加工し半分に切り、穴あけパンチで紐を通すための穴を空けると出来上がりである。昨年度から使用しているが、耐久性には特に問題が無い。

なお、上記の法令では狩猟者の電話番号を標識に記載することは求められていないが、書くのは有益であるし、猟友会や一部の都道府県が提供する標識の見本でも、電話番号の記載欄があることが多い。

標識のPDFファイルのダウンロードはこちら

しかにくのぶい

シカ肉の部位について書きたいと思う。

私の周りにいる狩猟者の多くは、獲れたシカを丁寧に解体して肉の一片も無駄にしないように、などという努力はしない。なぜならシカは猟期中に多数手に入るからである。

全日本鹿協会 (商品開発) – [1]
農林水産省/平成26年度 食料・農業・農村白書(平成27年5月26日公表) – [2]

例えば体重50kgのシカをきちんと解体したとすると、[1]によれば雄ジカの正肉歩留まりが41%なので、20.5kgの肉を入手してしまう。これを猟期中に5匹獲ったとすると、合計100kg以上である。日本人1人当たりの平均牛肉消費量は[2]によると年間約6kgであり、豚肉と鶏肉を合わせても30kg程度であることから、100kgが簡単に消費できる量ではないことが分かる。

ちなみに私は昨年度、シカ、イノシシ、ハクビシンで合計約70kgを精肉にした。自分個人で消費する以外に、食事会を開いたり、肉そのものを人に譲渡したりもしたが、未だ消費し尽くすことができず、あと2ヶ月で次の猟期を迎えようとしている。

では私の知る多くの狩猟者はどうしているかというと、「いいとこ取り」である。つまり、価値の高い部位だけ切り取ってあとは埋めてしまうのである。私も狩猟を始めた極初期には、肉をなるべく無駄にしないようにと思って解体していたが、今では「いいとこ取り」が基本である。

この「いいとこ取り」で言う「いいとこ」とは具体的にどこなのか、というのがこの記事で書きたいことである。

肉の部位については、猟師の中でもあーだこーだと議論が起こるが、基本的に各部位の価値は次のような要素によって決定される。

食味

塊の大きさ
切り出しと精肉へのしやすさ
調理のしやすさ

そもそも部位の分け方が人によって異なるのだが、私が精肉にする部位での分け方では次のようになる。

ネック
背ロース
ヒレ
モモ
カタ
スジ
ハツ
タン

これを、1頭から取れる量で並べると、[2]も参考にしつつ、概ね次のようになると思う。なお、()はほぼ差が無いものとして表記する。

モモ → カタ → スジ → 背ロース → ネック → (ハツ → ヒレ) → タン

次に、簡易な方法で調理したときの食味で良い方から並べると、個人の好みもあるだろうが、私は次のような順だと思う。

タン → ヒレ → 背ロース → モモ → ハツ → (カタ → ネック → スジ)

さらに、切り出しと精肉へのしやすさでは次のような順になると思う。

背ロース → (モモ → カタ → ネック) → ハツ → ヒレ → スジ → タン

上記の評価順を念頭に起きつつ、各部位の評価をそれぞれ書いてみる。

・背ロースは、(タンやヒレよりも)量が取れ、食味が良く、肉を取り出すのが最も容易である。
・モモは、取れる量が最も多く、取り出しも容易で、食味も悪くない。付け加えるなら塊の大きさも各部位中最大であるのでステーキに向く。
・タンとヒレは、食味が非常に良いが、取れる量が少なく、また取り出しにも手間がかかる。なお、タンは下処理が多少面倒。
・カタとネックはそれなりに量が取れ、取り出しも容易であるが、食味は優れていない。
・スジは量が取れるが、精肉および調理が面倒である。なお、食味順では最後尾にしたが、調理方法によっては他の部位に引けを取らない。
・ハツは内臓類の中では最も扱いやすい。普通の肉ばかりでは飽きてくるので、アクセント的な価値も含む。

という訳で、シカを1頭捕獲したときに私が取り出す優先順位としては、

背ロース → モモ → ハツ → ヒレ → タン

が上位にくる。もし、自宅の冷凍庫がモモ肉で埋まっていたら、モモは割愛してヒレとハツを回収し、時間があればタンも取り出すという選択をするかも知れない。

まぁ狩猟者にとっては、色々な部位の調理を試みつつ、自分が価値のあると思う部位を決めていけばいい話なので、上記のような説明は必要ないかもしれないが、狩猟者以外でシカ肉に興味のあると言う人に参考にして欲しい。例えば、ヒレやタンが美味であると聞いたからといって、知り合いの狩猟者にヒレとタンをくれるように頼んでも、1頭から取れる量はわずかだし、取り出しには手間がかかる。もし複数人で狩猟をしている人であれば、肉分配の際にそのような希少部位を確保するのは困難であるかも知れない。一方、背ロースやモモは取り出しが容易なので、肉を多く手に入れている狩猟者であれば、負担を感じずに渡してくれる可能性が高い。塊が大きく簡単な方法で調理しても美味しく食べやすい。