ぬかのつかいかた

括り罠猟で、糠などの餌を用いることに関しては、賛否両論ある。

否定的な意見としては、糠を撒くとかえって動物を警戒させる、という狩猟主体の考えに加え、動物を山側から里の近くへ誘引する可能性がある、という野生生物保護や獣害対策の観点によるものがある。加えて、罠の設置場所が他人の目に留まりやすくなる、という欠点も存在する。

私がこれまで他人のやり方を観察した結果、括り罠における糠の使い方は、大きく分けると2種類ある。1つは罠の設置場所を中心に撒くやり方、もう1つは少し離れた獣道脇に積むやり方、である。前者の場合は、動物が糠を食べようと近づいたとき、あるいは食べている最中に罠を踏むことを意図して、糠を用いていると考えられる。後者の場合は、動物が獣道の分岐点に差し掛かった際、罠のある獣道を進むよう誘導したり、あるいは獣道を何かが通ったことを確認したりする目的で、糠を用いている。書き方からして分かるとおり、私のやり方は後者である。

私は設置した罠を毎日見廻っているが (大雨や雪などで困難な場合を除く)、罠の設置場所によっては、獲物が掛かっていないことは遠目から確認できても、罠の状態がどうなっているか (空ハジキや暴露など)を確かめるためには、罠のすぐ側まで行かないといけないものもある。そういう場所の罠は、2,3日おきに近くまで行って確認する、ということにしておくと、見廻りに要する時間を短縮できるし、無駄に罠周辺を踏み荒らさずに済む。しかしながら、このやり方だと、罠が空ハジキしたまま数日間放置される、という可能性もある。そこで私は、確認がしにくい罠には同じ獣道の少し離れた位置 (遠目から見やすい場所)に糠を設置しておき、その糠が無くなっていたら罠もチェックする、という追加ルールを設けている。糠が無くなっているということは、その獣道を動物が通ったということであり、罠周辺も通った可能性が高いからである。これにより、空ハジキしたまま罠を放置してしまう確率を低減できているはずだ。

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