あたらしいばしょ

2019/12/21にニホンジカ♀1頭の捕獲があった。罠は”だらずわな”で、ワイヤーは左後脚の副蹄の上に掛かっていた。

この個体を入れた直近3捕獲は全て”だらずわな”によるもので、副蹄の上に掛かっていたのも3連続である。今回は後脚に掛かっておりそれは残念であるが、踏んだときの確実な動作という点では、理想的な設置ができているようである。

“しまるくん”も”だらずわな”以上の数を設置しているのであるが、今猟期に入ってからは捕獲がない。ただこれは罠本体の差というわけではなく、設置場所の問題だと思われる。直近の3捕獲はいずれも、今猟期に初めて設置した場所での捕獲で、一方の”しまるくん”は、以前から同じ場所に設置しているものが多い。獣道の使用状況は常に変化していくので、以前獲れた場所だからといって新たな場所に設置する手間を惜しんでいたのが、今回は裏目に出ているようである。もっとも、罠の位置を全くずらさずに2度3度と捕獲をした経験もあるので、同じ場所・獣道を使い続けるのが必ずしも悪いというわけではないと思われる。あくまで状況次第と言えるだろう。

あめがあがって

2019/12/18にニホンジカ♀1頭の捕獲があった。罠は”だらずわな”で、ワイヤーは左前脚の副蹄の上に掛かっていた。

ワイヤーの掛かりは良かったのだが、この個体は発見時に既に死亡していた。前日は朝9時頃に見廻り、この日は午前中雨天のため午後13時頃の見廻りとしていた。午前中も暇だったので、雨の中見廻りをしていれば生きた状態で発見できた可能性もあるが、それはそれでリスクもあるので仕方ない。

かめらそのいち

FAR夢の販売するセンサーカメラ、WAM CAPTURE01を使用する機会を得られたので、撮影サンプルなどと共に紹介したいと思う。このセンサーカメラは鳥獣被害対策を目的として、役所から渡されたもので、私が購入したものではない。楽天市場での販売価格を見ると、30000円前後の商品らしい。製品としては、SiFar 2.6Cのメニュー表示を日本語化してロゴなどを追加したものと思われる。

以下の撮影サンプルは全て、私が設置した個体で撮影したもので、撮影条件は以下のとおりである。各写真をクリックして表示されるのは、全く加工をしていない原寸大かつ非再圧縮の画像ファイルである。

モード:写真
バージョン:2.6.0.G32
連射:3P
写真サイズ:12M
動体検知感度:中
赤外線LED:40

まずは動物が何も写っていない日中 (12時30分頃)の写真。全体的に見ると綺麗だが、ドットバイドットまで拡大すると、荒いのが見て取れる。解像度12M (4000x3000px)は最高設定なのだが、わざわざこの解像度にして容量を食わせるよりも、8Mや5Mの設定にした方が良い可能性もある (試していないので不明)。

続いて夜 (21時頃)の写真。イノシシ4頭が写っているが、各個体の大きさなどを確認することができる。やはりドットは荒いので、12Mにする意味は少ないかも知れない。

これはツキノワグマが写った写真。民家に近い場所だったので、役所にも提出した。クマは画角の右端から現れ右端に消えていったが、きちんと感知して撮影できていることが分かる。

こちらはタヌキの写った写真。中型動物にも反応して撮影できていることが分かる。

ちなみに、捕獲の様子を撮影しようとすると、当然ながら画角に檻 (罠)が入り込むことになるが、実際に捕獲があると、中に入った動物が画角内で動き続けることになるので、膨大な数の写真が撮影され、電池とSDカードの容量を食うことになるのは注意が必要である。この場所では檻の入り口付近のみが画角に入っているが、上記の設定で20:45頃に捕獲があった際は、翌日7:30までの間に約1900枚の写真が撮影され、写真のファイルサイズ計はおよそ4.4GBとなった。単純に考えると、連写設定 (3P)を切れば撮影枚数と容量は1/3程度になるだろう。

別の場所で、中型動物用檻の前に設置し撮影した写真。リスが写っていることから、小型動物にも反応できていることが分かる。

さらに別の場所で、括り罠設置場所付近を撮影した写真。ネズミと思われる、極小型の動物が写っている (下側の位置解説画像は縮小・再圧縮してある)。3枚連続で撮影する設定にしているので、手元には前後の写真もあり、動いている箇所を判別できるが、ここまで小さいと1枚の写真では写っているのが分からないくらい小さい動物にも反応し、撮影できていることが分かる。

もっとも、カメラの前を通った動物全てが撮影されたか確かめる術はないので、あくまで記録されていたものだけを見て、「この程度の距離・大きさで反応し撮影できることもあった」と考えるのが良いだろう。

撮影サンプルはこの辺にしておいて、あとは使用感について記したいと思う。

他の機種と十分比較したわけでも、何らかの測定をしたわけでもないが、印象としては電池の消費が早めである。それと気になるのは、背面に予備電池 (単三x4)を入れている際も、どうやら本体側の電池 (単三x4)から優先的に電力を供給している点だ。この機種は、撮影した写真を本体のディスプレイで確認しようと思うと、背面の予備電池と本体を分離する必要があるが、本体側の電池が切れているとディスプレイが映らないので、写真を確認できない。仕方ないので本体側の電池を抜き取って背面の予備電池と交換すると、予備電池の方は電力が残っているので使える。予備電池が本体と接続されている時は予備電池の方から使うようにすれば、このような面倒なことは起こらないのに、と思う (その場合は”予備”ではないとも思うが)。あと癪に障るのは、その予備電池の一部が非常に取り外しにくいことである。屋外で木などにベルトを巻いてベース部分 (予備電池入れ)を設置したまま、電池を交換するということは、運用する上で十分考えられるシチュエーションだと思うのだが、これが簡単にはいかない。私のやり方が悪いだけかも知れないが。

加えて、撮影された画像の回収に関してであるが、SDカード自体を交換してやれば勿論何の問題も無いわけだが、これだとSDカードが余分に必要になるし、SDカードを差し直した際に自動撮影を再開させるボタン操作が必要になる (そのボタンを押すには本体と背面の予備電池を分離する必要がある)。なるべくならカメラを設置したまま、手持ちの端末 (スマートフォンやタブレット)に画像を抜き出せ、なおかつ自動撮影が勝手に再開されると便利である。この機種の場合、USBケーブルでコンピュータと接続すると、自動撮影は一旦停止するが、ケーブルを取り外すと他の操作なしに自動撮影が再開されるので、これならiPhoneやiPadとUSBケーブルで繋いで写真を回収できるかと思ってやってみたが、Apple純正のLightning – USBカメラアダプタを使用したところ、電力が足りないというメッセージが出て、記録された画像を抜き出すことはできなかった。SDカードを本体から抜いて、Lightning – SDカードカメラリーダーを使えばiOSデバイスに写真を取り込むことはできるが、その場合は前述のように自動撮影を再開させるボタン操作が必要になる。 (2020/1/31追記: ZenPone MAX M2と適当なOTGケーブルを介して繋いだところ、問題なく写真の取り込みが行えた。ZenPone MAX M2はリバースチャージ機能も備えているので、USB機器への給電力が高いと思われる。他のAndroid端末で同様に写真の取り込みが可能かは不明。)

全体として、電池の残量確認や交換を丁寧に行えば、撮影能力は高そうである。大量に、長期に運用することを考えるならば、電池やその交換にかかるコストを他機種と比較したほうが良いかも知れない。